本編
イカれた学校
私の名前は
今日は珍しく遅刻しそうだから米粉パン咥えて走って学校に行ってるの!
市販の小麦粉のパンなんて食べちゃったらガンになるし、添加物で体が毒まみれになっちゃうから米粉パン食べてるの!
(この曲がり角って怖いんだよなぁ~、いつも思考盗聴でもしてんのかってタイミングで廃材乗せた明らか日本人が運転してなさそうな車が来るし。)
そう右世子が思っていると急にドカーンとした衝撃が肩に走る。
「うぁ!イテテ...」
右世子は尻もちをつき、上を見上げると全身黒ずくめでバックを背負った男が誤りもせずに走り出した。
「あんた!何すんのよ!ルール守れないなら日本から出てきなさい!」
「黙れ女!」
男は日本語話者にしては発音がおかしい日本語でそう言い、去って行った。
(なによあいつ、全身黒ずくめでバックなんか背負って、しかも私に向かって黙れなんて、絶対日本人じゃないわ。)
(こんなやつを国外退去させないなんて鷹海内閣はつくづく売国奴内閣ね。)
そう思いながら走ると何とか間に合い、着席する。
「右っち!今日遅いじゃん!」
ギャルの
「実は不良外国人に悪質タックルされて遅れちゃって。」
「大体あいつなんなのよ!普通ぶつかったら謝るもんでしょ、なのにそいつときたら謝りもせず黙れ女ですって、しかもあいつ絶対日本人じゃない発音で言ってた。
大体不良外国人を国の宝とか言って無制限に移民を増やしたのは誰?鷹海内閣よ!東大に志奈人を受け入れて日本人を最優先しないあの売国奴内閣が!
ニセ難民とかテロリストを受け入れて日本人の土地を侵略させた!
近所の街も西山市からほぼニシヤマスタンになって女性と子供は怯えてるのよ、外国人ファーストで北海道の土地を二束三文で売るのを国策にしてるあいつ!
あいつ絶対志奈のスパイよ!
日本を弱体化させて日本を中華人民共和国東海省にする気だわ、あなたも目覚めるべきよ!
今度一緒に山西党にデモとか集会に参加しましょう!一緒に志奈の魔の手から日本の子供達を守って日本人ファーストの国にしましょう!
とう言うのかもうペンで戦うフェーズは過ぎてるわ!やはりここは武力。
私は諸君らの中の少数派に呼びかけている。
我々少数派は、もうこんな国に何も望まない!
我々少数派に残された選択肢はただ一つ!こんな国はもう滅ぼすことよ!
ぶっちゃけて言えば、もはや政府転覆しかない!
少数派の諸君! これを機会に、「政府転覆の恐ろしい陰謀を共に進めていこうではないか!
これを言った途端ヤバい人と見られる日本がやばいのよ、もっと思想に寛容であるべきよ。
アメリカなんて喫茶店で支持政党の話とか普通よ?
なのに、な、ん、で、私がやばいやつにならないといけないわけ?
そんなんだから
もっとマシな国にしないと、この国を作ってきた先人に申し訳ないとは思わないわけ?本当に大和魂がないわ!」
「あ、あははー、時間あったら参加するね...」(やっぱコイツきしょいな、政治わかるアピールウザ。)
ガラララ!ドピュピュピュブチチ、ゲゲリゴヤ!
ドアが開く音がすると、先生が全裸なのにブラジャーと水泳用ゴーグルだけをつけて教室に入ってきた。
「はいおはようございます!スイムキャップつけずにゴーグルだけでやると髪が巻き込まれてクッソ痛いです!そんなことはどうでもよくて今日は転校生が来ます!」
クラス、騒然。
だがそれは目の前に先生と名乗る不審者が出てきたことではなく、転校生が来ることについてだ。
「え!?転校生って誰かな?」
「イケメンだったらいいなー。」
「女子だったら可愛い子だったらいいなぁ〜。」
もちろん右世子もだ。
(愛国心ある人がいいなぁ〜。)
女子は期待に胸を、男子は期待に股間を膨らませ、転校生が教室に入ってくる瞬間を待っていた。
「それでは入ってもらいましょう!今日のクラスに話題を掻っ攫うのはこの男〜!」
エ⚪︎タの神様みたいなコールなのにm1みたいな曲が流れ、転校生が入ってきた。
だがそれは皆の期待を大きく裏切るものだった。
来たのは全身黒ずくめ、自爆ベストらしきものを着ていた男子中学生?らしき人。
さらにリュックから56式自動歩槍を取り出し、こう言った。
「神の他に至高たるものは無し、神は偉大なり。」
またもやクラス騒然。
そりゃ初対面で急に銃を取り出して神は至高なりとか言うやつを転校生とは思いたくもないわな。
「初めまして、私の名前はオサマラーンボッキ・ビン・ビンラディンです。」
ラディンはあまり慣れていない日本語で自己紹介をした。
その発音に右世子は既視感を覚えた。
(この発音、朝聴いたような...)
「...てなわけで転校生のラディン君だ、みんな、なんかこの子に質問あるか?」
「はい。」
一人の生徒が手を挙げ、質問する。
「ラディン君はどこから来たんですか?」
「ダーイシュ国です。」
一同、騒然
なぜならダーイシュ国は内戦中で、到底安全な教育など受けられないからだ。
「ラディン君は転校する前どこの中学に通ってたんですか?」
「中学行ってない、少年兵やってた。」
ラディンはポップに話していたが、あまりにも内容と乖離した喋り方なので、クラスは騒然としていた。
右世子は、政府に対して怒りを覚えた。
(思想チェックも無しに政府はこんなテロリストを国の宝とか言って迎え入れたの⁉︎日本ファーストなんて二の次の売国奴内閣は早く退陣しろ!)
だがそれに一番反応していたのが、先生だ。
「え!?まじで?お前ら机下げろ、チックタック撮るぞ。」
そういうと先生はスマホを取り出し、ラディンをセンターにし、どのように踊るのかを生徒に指示し、録画を始めた。
「3!2!1!アクション!」
先生がそういうとラディンは右手の人差し指を上に上げ、笑顔で左手を胸に置いた。
スピーカーからはThe Red Heartの曲、エクスプレスだった。
見えない銃を撃てと歌詞のところで、女子は首を切る仕草、男子は指鉄砲を撃つ仕草をした、最後に後ろで爆発のエフェクトが入るところで皆がラディンと同じポーズをし、録画は終わった。
「よし、タイトルは"爆弾級転校生降臨"だ!」
「ハッシュタグは、#️⃣テロリスト系転校生、#️⃣教育改革、#️⃣運営さん大好き、#️⃣バズりたいお年頃、#️⃣多様性!よし、早速東谷中学の公式アカウントに上げるぞ〜!」
「お前ら机戻せー!」
右世子は、恐ろしい感情に包まれた。
「じゃあラディン君、あそこの席に座ってくれるかな?」
指定したのはなんと、右世子の左隣だった。
(え?こんな不良外国人と同じ席?嫌だ嫌だ!)
(これから私の学校生活、どうなっちゃうの〜⁉︎)
元聖戦主義者の転校生が普通の日本人な私と隣の席な件 ウィングマン佐々木 @Wingumansasaki
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