祭囃子の風 

Rie

― 忘れじ、夏の音―

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 ぱち、 ぱち、 ぱち、

 うす紅い火が 揺れながら

 夜の端っこ やさしく照らす


 


 きみのうなじに ほどけた帯が

 ― ふと 風に鳴る ―


 


 しゃら、 しゃら、 しゃら、

 ふたりは 知らぬふりのまま


 


 あめ細工 うすく、かたく、あまく

 夢は夢のまま 溶けてゆく


 


 からん、 ころん、

 下駄の音が 人混みに紛れ

 わたしの影だけ 戻ってくる


 


 空には 音

 耳には 鼓動

 きみの肩には まだ 夏の色


 


 忘れえぬのは いまか、まえか

 きみか、なにかか

 わからぬままに

 祭りが 遠ざかる


 


 さらり、 さらり、

 水のように 灯のように

 言葉はこぼれ 届かぬまま


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祭囃子の風  Rie @riyeandtea

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