戦闘狂が征く現代ダンジョン探索譚

@giga4

第1話 普通の学生、夢を追う




強さがほしい。



圧倒的な強さがほしい。




ゲームは好きだった。分かりやすくていい。経験値を貯めて、決められた数字を超えたらレベルが上がる。レベルが上がればステータスの各項目の数値が増え、覚えられるスキルや魔法も増えていく。目に見えて強くなっている実感があることが、さらにゲームを面白くしてくれる。



強くなったステータスの暴力で一方的に雑魚敵を屠るのは楽しい。何十何百と出てくるモンスターどもを一掃する快感。最高だ。



強敵との戦いもいい。雑魚敵無双もいいが、そればかりでは盛り上がりに欠ける。やはり、強い敵との戦いは戦闘シーンをさらに面白くする潤滑油となってくれる。強いと評判の敵が自分の前では成すすべも無く敗れていく様も、激闘・死闘の果てに強敵を倒す様もどちらも捨てがたい。



戦いのあとの報酬も楽しみだ。

雑魚敵相手では、アイテム・経験値共に微々たるものだろうが、数をこなせばそれなりになる。

強敵相手では、アイテム・経験値共に最高のものが期待できる。


戦いの前も、戦いの最中も、戦いの後も楽しませてくれる。だからゲームは良かった。



しかし、今日おれはここに生まれ変わる。

俺の考えは今日をもって変わる。


現実よりゲームじゃない、ゲームより現実だ。



だってそうだろう?


現実がゲームになるんだから!!



頭がおかしくなったかって?

早まるなよ。もう少し待て。



いや、違うのはわかってるんだよ?ゲームはゲーム、現実は現実。ゲームと現実は違う。そこはわかってるんだ。


大丈夫。ゲームと現実の境界線はしっかり引いてる。


俺が言いたいのはそういうことじゃない。




現実が面白くなるってことだ。




20年前、俺が生まれるよりも前にそれはできた。

俺の父親が通勤前の早朝7時頃に、突如世界中が真っ白に包まれたらしい。


原因不明の世界同時の発光現象だってテレビで騒いでたらしいがそんなことはその後に分かる新情報の前ではどうでもいい話となった。



発光現象の後、世界中で空間が渦を巻く現象が現れた。いくつもだ。



未知の現象に世界は戸惑った(後にこれは、ゲート、と呼ばれる異界に通じる門であることが判明する)


どの国も自国の安全保障の観点からすぐさま周囲の封鎖とゲートの探索に乗り出した。

日本でも警察や自衛隊が周囲を封鎖して、ゲートに突入していったらしい。


そして、驚くべき情報を持ち帰った。

以下はその内容である。


●ゲートの先は洞窟に通じていて、中には見たこともない生物がいた。

●非常に好戦的で、銃火器の類が通じにくい。

●倒した生物(以下、モンスターと総称)は光の粒子となり、その場には棍棒や布といった物品、小さな石のようなものがあった。

●奥に進むと、地上のものと似たようなゲートが赤と青の色違いでそれぞれ1つずつあった。

●赤のゲートに入ると地上に戻り、青のゲートに入ると、また同じような洞窟(以下、ダンジョンと総称)に入った。

●持ち帰ってきたもの(以下、アイテムと総称)は今までに発見されてない未知のものが多くあった。

●持ち帰った石(以下、魔石と総称)からは未知のエネルギーが抽出され、今までのエネルギーよりも安全かつ幅広い用途に利用できることがわかった。



(ダンジョン?

ステータス?

魔物?

アイテム?


おいおい何だそりゃ。




面白すぎだろう!!)





その後も突入した軍人、自衛隊のおかげで他にも大小様々なアイテムや魔石を得ることができ、人類は新しいステージに進んでいくことになった。



そこから20年。俺も中学卒業だ。


世間では、『新階層攻略!!未知のアイテム発見か!?』、『日本勇者クラン【フロンティア】、新階層最速攻略達成!』、『米中主導、多国籍探索隊結成!第26ダンジョン攻略開始!』…などなど


心躍らせる文面がチラホラ。



(くぅっっ!!)

(早く行きてぇ~!)



な?

ゲームなんてやってる場合じゃないだろう?



世界が!ダンジョンが!楽しみだ!本当に楽しみだ!


(なにより…)




戦いたい。




自身のステータスで。


武器を携えて、どこまで強くなれるのか、どこまで行けるのか。



高みを目指し、目もくらむほどの財を夢見て。



気の行くまま、己が征くまま。




(あぁ、待ち切れないなぁ)




つまらない日常じゃない。



ここから楽しい楽しい

冒険を!

戦いを!




(あと少しだ…)




明日、おれは探索者になる。

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