九月は長い夜で心を探す

九月は長い夜で心を探す


夜が長くなって心を探す時間が増えた

月の満ち欠けを気にするようになってから

月と心が似ていることに気づいた

どちらにも嘘があって裏側がある

そしていつの間にか見えなくなる

ああ、また探さないと…


目に見えないものは透明って習った

目に見えない心は透明だと気づいた

透明なものを探しても見つからないと悟った

夜が長くなったことを言い訳にして

月の裏側が見れないことを言い訳にして

心を想像で誤魔化してた


夜なんて作品だった

月がこんなに綺麗なのも

きっと嘘なんじゃないかと感じた

今まで不必要なことばかり教えられてきた

これを表せる表現技法を

これを書ける言葉を

夢を持つ大事さよりも教えて欲しかった


嘘をついたらダメと習った

夢が叶わなかったら嘘になると気づいた

夢なんてない方が偉いと悟った

いくら手を伸ばしても月には触れられない

だからこそ美しいと感じた

触れた途端に醜く崩れるから

創造なんて諦めて

夢を想像で誤魔化した


心なんて作品だった

過去がこんなに綺麗なのも

きっと罠なんじゃないかと感じた

今まで夢は必要と教えられてきた

夢がなかった過去も

夢を探した過去も

今となっては綺麗だから

夢と同じくらい心が欲しかった


目に見えなくても透明じゃないよ

月の裏はきっとあるから

言葉は人を傷つけるから

嘘をついてもいいよ

綺麗な過去とかきっと嘘だから

この世界なんてきっと嘘で作られてるから


教えて欲しかった

それを

教えたかった

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