夏祭りのとき水の中でつやつや光る金魚をつかまえた。そのたった一瞬のようなきらめきが永遠につづく。そんな切なさに満ちています。「容疑者」になった瞬間も本人はつい輝いてしまう。若さゆえのまぶしさをとらえて秀逸だと思います。
ファイナリストに選ばれなければ嘘だろう、というほどの圧倒的な感性、連作としての緩急あるストーリーにオチまでついた見事な構成。カクヨム短歌賞10首連作部門の作品を一つだけ読むなら本作を読んでほしいとまで言える。ビビッドな視点で描かれる、しかし実は普通かもしれない日常の歌がとても光っている。
軽い。良い意味で軽い。言葉がウサギのように跳ねている感じです。2首目の「放って」の短歌も、意外な展開に軽々と飛躍していきます。全体的に破調ではあるのですが、それも魅力に変えてしまうだけの並外れた発想力があるのです。珠玉の口語短歌集と言えるでしょう。特に面白かった短歌。あたし、「金魚救い」だと思ってた つやつやの魂携えて
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