サメっぽい何か

@Miraisan

発見と侵入

 せっかくの夏休みなので、友達と家の近くの山を探検することにした。家の近くといっても、今まであまり入ったことがなかった。

 太陽がギンギラギンに照りつける昼下がりだった。1車線の山道を歩いていたが、それではつまらない。だから、道路から外れることにした。草や低木に覆われていたが、やぶの中に獣道を見つけ進んだ。

 目的地は特に設定していないので、ただひたすらに歩いた。上には太陽に照らされて黄緑色に光る木々の葉が広がっている。一緒に来ている友達の奴男やつおが、野良犬のうんこを踏んだ。上を眺めていたため、気づかなかったのだ。

 トゲのある野生のバラや、樹液に触れると皮膚に炎症を起こす木をよけ、1時間ぐらい進むと、生い茂る植物の隙間から、テカテカと光っているものが見えた。

 怪しがりて近づいてみるに、それは小さな池だった。緑色の水面は、木漏れ日を反射していた。

「家があるぞ。」

奴男がある方向に指をさして言った。そちらに視線を向けるとボロボロで2階建て民家が建っていた。白い壁はコケとツル植物でおおわれて緑色になっており、窓はガラスが消え去ってフレームだけが残っていた。瓦はところどころ無くなっていた。

 秘密基地みたいでワクワクした。奴男もきっと同じ気持ちだろう。

「人住んでなさそうじゃし、入ってみようや。」

僕は奴男に言った。奴男は僕の言葉に即賛同したが、その前に休憩したいと言ったので、僕たちは手頃な岩や倒木を見つけて腰かけた。奴男がリュックから取り出したのは手の込んだ弁当だった。奴男の弁当はカラフルだった。いろんな食材がバランスよくならんでいる。奴男は料理上手なことを僕は知っていたので、自分で作ってきたことを知っていた。確か、奴男の両親は飲食店をやっている。対して僕はコンビニのおにぎりだった。

 2人とも休憩を終えると廃屋へと進んだ。玄関らしき扉を押すと鍵はかかっていなかった。ギギギと音を立ててゆっくりと扉が開く。家の中は割れた鏡だったり開きっぱなしの冷蔵庫だったりいろんな廃品が散乱していた。壁はしっくいが所々むき出しになっていてカビ臭かった。

 しばらく漁っていると、僕は床に扉を発見した。キッチンによくあるやつだ。すぐに奴男を呼び、2人は床下へと続いた。床下に広がるスぺ―スは広く、横幅、高さは160cmくらいの通路が続いていた。壁は土がむき出しで、所々木の柱で支えられている。おかしなことに、天井には電球が遠間隔で設置されており、すべて点灯していた。

「電気通じるのかよ。ここならこっそり電気使ってもバレないんじゃあないか?っていうか、、、」

奴男のおしゃべりを背中で聞きながらノソリノソリと前へ進んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る