追放された元最強パーティのS級冒険者、裏ダンジョンで出会ったスライムと最強に返り咲く

煮物民(にものみん)

第1話スライムとの出会い

「くらえっ!上級火魔法インフェルノ!」


俺は魔法を唱え、体力が少なくなったミノタウロスの魔物にトドメをさす。

ダンジョン内が赤く輝き、焦げた大きな魔物の体が前に倒れ、ゆっくりと砂になっていく。


「ふぅ。いてて、今ので、今日の魔法は限界かな、少し戻ってセーフゾーンを作って休もう。」


現在俺は、裏ダンジョンと呼ばれる世界最難関のダンジョンにソロで挑んでいる。

元S級の冒険者だった俺は魔法の使い過ぎで魔法回路を傷つけてしまい、一日に発動出来る魔法の回数が限られてしまった。それが原因でパーティを追放されたのだ。


このダンジョンを攻略した実績で、最強の座に返り咲きたいという事が、今の俺をこの自殺とも言える行為に突き動かしている。


--ッ!


突然、物音がした。咄嗟にその方向に向き、戦闘態勢をとる。


「チッ、まずいな、魔法が使えねえってのに。」


ここらへんは既に掃討済みで、敵も居ないと思っていたから油断していた。

ほとんど新品の腰の剣を抜き、身構える。


剣先を物陰に向けながらゆっくりと近寄り、その姿を見た。それは--


「は?スライム?」


傷ついたスライムだった。こちらを気だるげに見ている。

ほとんど戦闘能力のない最弱の魔物として有名な魔物がなんでここにいるんだと疑問に思った。

見捨てようと踵を返す。セーフゾーンを作ろうと、歩き出す。


--お前をこのパーティから追放する。


そのとき、追放された時の事を思い出し、足を止めた。


こいつはもしかしたら、今の自分なのかもしれない。

自分を証明出来る力を持たず、社会から弾き出されたはぐれ者。


そう思うと、見捨てることは出来なかった。

振り返ってポーチからポーションを取り出しながらスライムに近ずき、ゆっくりと傷ついたスライムに振りかける。


「--?」

スライムは不思議そうにこちらを見つめている。


こんな危険なダンジョンなのに、警戒しないスライムをおかしく思って、思わず笑ってしまう。

「お前、警戒とかしないんだな。」


こくん、とスライムは体を縦に揺らし、頷いたように見えた。驚いた。こいつはもしかして人の言葉が分かるのか?思わず聞いた。


「お前、こっちの言葉が理解出来るのか?」


こくん、とまたスライムは体を縦に揺らし、頷いた。

人語を理解する魔物なんて聞いたことがない。裏ダンジョンという、特殊な環境が生み出す変異体なのか?しかし、そんなことをこのスライムに聞いても仕方がない。

スライムだとしても、コミュニケーションを取れる相手が欲しかった。


「なぁスライム、一緒に行かないか?」


今度は少し時間を空けて、またこくんと頷いた。

その後ぴょんぴょん飛び跳ねて嬉しそうにしている。


「ははっ!お前も寂しかったのか?これからは一緒だ。仲良くしようぜ。」


そう言うとスライムはこちらに飛びついて、嬉しそうに体を擦り付けて来た。


「そうだ、名前が必要だな。…スライム、君の名前は、スライムから1文字とって、スイムなんてどうだ?」


その瞬間、スライムと俺の間に、パスのような物が繋がった気がした。


足に擦り寄っているスライムから嬉しそうな感情が伝わってきた。



その日は近くにセーフゾーンを立てる魔道具を使い、毛布を敷いて1人と一匹で寝た。




★★★お礼・お願い★★★


記念すべき1話目を読んでくださりありがとうございます!


スイム可愛い!スイムみたいな相棒がほしい!

主人公頑張れ!応援してるぞ!



と思ってくださいましたら、☆評価とフォローをお願いします!

☆評価とフォローが煮物民のやる気になります!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る