第2話:現代ダンジョンでのホームレス

 ホームレスとは定まった住居を持たず、路上や公園、高架下、限界集落などの野外に住まう者たちのこと。浮浪者とも、乞食とも言う。

 その歴史は古く、平家などの武家の没落者とその一族が作った木製品や竹細工を売って、生計を立てたり、釣りや狩猟、採取で獲れた魚や獣肉、山菜などを日々の糧にしたりと、高度なサバイバル能力があった。

 戦国期にもなると、農業の傍らで足軽として戦に参加したり、戦に負けた落武者から追い剥ぎをしたりし、村人ながらも逞しき強さが伺える。

 世界大戦後の昭和では空襲で家を失った民衆の一部は裏社会に身を投じ、売春や愚連隊に入る者や都会から離れ、田舎よりも深い山奥で自給自足の生活を送る者がいた。

 現在、家庭内暴力DVから逃げた親子や、穀潰しとして家庭から追い出されたニート、険悪な家庭環境に耐え切れず、家出した者、外国から不法侵入した者、戸籍の無い者などが溢れつつある社会はホームレスを増やす要因になり、彼らはそれぞれのコミュニティを築き、都会の様々な場所を縄張りとして暮らしていた。

 そんな彼らが日の目に晒されたのは迷宮メイズ出現による魔軍侵攻クリーチャー・スタンピードによって社会が崩壊した時であった。

 冒険者ワーカーの中にはホームレスである者全員が異能に目覚め、魔物クリーチャーを狩って、素材を活用したり、アリスGUILDからの依頼クエストをこなして、日銭を稼いで、日々の暮らしを謳歌していた。


 世は大迷宮時代であると共にホームレス黄金期が始まっていた。



 

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