軍艦島をそれなりにフォトグラメトリしないと出られない部屋に閉じ込められた…ていうか、『それなり』ってなに!?基準は!?

大西さん

はじめに

この物語について

### はじめに


目覚めると、そこは見知らぬコンクリートの部屋。女子高生・田中ユイが閉じ込められたのは、廃墟の孤島「軍艦島」だった。脱出条件は30日以内に島全体を「フォトグラメトリ」でデジタル化すること。


「ふぉとぐらめとりって何!?」——機械音痴の少女の孤独な戦いが始まる。失敗だらけの撮影、毎日届く謎の奇抜な衣装(メイド服、ビキニ、バニースーツ!?)に戸惑いながらも、ユイはカメラを手に島の記憶と向き合っていく。


やがて、彼女は一人ではないことを知る。もう一人の挑戦者、レーザースキャンを担当する理系男子。カメラとレーザー、異なる技術を持つ二人が、時に反発し、時に協力しながら、島に眠る過去の想いを未来へと繋いでいく。


これは、技術と絆が奇跡を起こす、30日間のデジタルアーカイブ青春記である。


#### 登場人物


田中 ユイ(たなか ゆい)

本作の主人公。ごく普通の女子高生。突然軍艦島に監禁され、フォトグラメトリによるデジタル化ミッションを課せられる。機械音痴だが、場所に残る記憶や感情を光や音として感じ取る「共感覚的記憶」の持ち主。


佐藤 ケンタ(さとう けんた)

ユイとは別の部屋に監監禁された、もう一人の挑戦者。同じく高校3年生。亡き父の遺志を継ぎ、レーザースキャンを担当する。論理的だが不器用な理系男子。


グンちゃん

嵐の日にユイが保護した子猫。ユイとケンタの間でメモやデータを運ぶ、重要なメッセンジャー(運び屋)となる。


ボトル子(ボトルこ)

監禁生活の孤独のあまり、ユイがペットボトルに顔を描いて作った友達(無機物)。


No.26

ユイ(No.27)の前にミッションに挑戦していた前任者。データ内に謎の「罠」と希望の「花」の写真を残していた。


#### 用語解説


フォトグラメトリ(Photogrammetry)

ユイが担当する技術。対象物の写真を様々な角度から多数撮影し、そのデータをPCで解析・統合することで、高精細な3Dモデル(デジタルツイン)を作成する手法。形状だけでなく、質感や色(テクスチャ)のリアルな再現に優れるが、作業に時間がかかる。


レーザースキャン(Laser Scanning)

ケンタが担当する技術。対象物にレーザーを照射し、その反射光を測定することで、対象の正確な形状を「点群データ」として取得する。闇の中でも正確な測量が可能で非常に高速だが、質感や色の再現は写真に劣る。


#### 30日間で出てくる軍艦島の施設


Day 1: ちどり荘

Day 2: ドルフィン桟橋 / 海底水道取込口

Day 3: 端島小中学校(70号棟)・体育館(71号棟)

Day 4: 30号棟

Day 5: 炭鉱関連施設

Day 6: 選炭施設(ドルシックナー周辺)・ボタ捨て場

Day 7: 端島病院

Day 8: 日給社宅

Day 9: 端島銀座

Day 10: 端島神社

Day 11: 51号棟

Day 12: 貯水タンク

Day 13: 防波堤

Day 14: 休息日

Day 15: 昭和館

Day 16: 室内作業

Day 17: 13号棟

Day 18: 灯台

Day 19: 3号棟

Day 20: 日給社宅の屋上庭園、2号棟、67号棟

Day 21: 南部プール跡

Day 22: 65号棟

Day 23: 65号棟(再訪)

Day 24: アンダーグラウンド(地下施設)

Day 25: 旧役場跡(22号棟)・公民館(39号棟)・21号棟

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