パート24: 矛と盾の初陣
突如乱入してきた暴走状態の獣人、フェンリル。
セレスティアが咄嗟に展開した盾が、その鋭い爪を防いでいる。
だが、彼女の魔力はもう限界に近いはずだ。
「セレスティア、持ちこたえろ! 盾で圧迫して、彼女をあちらの狭い通路へ誘導するんだ!」
僕は即座に指示を飛ばす。
これが、僕のチームの初陣だ。
「指図しないでくださる!? ……でも、合理的ですわね!」
セレスティアは悪態をつきながらも、僕の指示通りに防御壁を巧みに操作する。
壁を少しずつ動かし、フェンリルの逃げ場を奪い、訓練場の資材置き場へと続く狭い一本道へと追い込んでいく。
「リナ! 回復した魔力で援護しろ! 彼女の足元を狙え、動きを鈍らせるんだ!」
「はい、マスター!」
リナも即座に反応し、氷の魔法を放つ。
強力な一撃ではない。フェンリルの足元を凍りつかせ、その俊敏な動きを封じるための、精密な一撃だ。
「グルルッ!?」
足を取られたフェンリルは、体勢を崩して通路で転倒する。
そこへ、セレスティアがすかさず通路の入り口を盾で塞いだ。
これで、彼女は袋の鼠だ。
「見事だ、二人とも。完璧な連携だった」
僕が称賛の言葉を送ると、リナは嬉しそうに、セレスティアは「当然ですわ」とそっぽを向きながらも、どこか誇らしげな表情を浮かべた。
ついさっきまで敵対していた二人が、僕の指示の下で、完璧なコンビネーションを見せたのだ。
(最高の矛と、最高の盾。この二人が揃えば、これほどの力が生まれるのか)
僕のプロデューサーとしての血が騒ぐ。
だが、まだ終わりじゃない。
この荒々しい「剣」を、手なずけなければ。
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