ホテル309号室
水無月白雨
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誰もいない深夜の山奥で、男はただひたすら走っていた。
雨の中、星の光も月の光も全て分厚い雲に覆われ何も見えない。
ぬかるみに足を取られ、跳ねた泥でズボンを汚し、それでも男は懸命にひたすらに走り、そしてたどり着いた。
目の前にあるのは西洋風のおそらく二階建ての館。
無数にある窓からは優しい暖色系の明かりが漏れ、男を歓迎しているようだった。
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