メタ世界の彼に背中を押されて

はじめに。作者の方のご指定通り、晋太のセリフはCV.浅沼さんで脳内再生することをお勧めします。これをするかしないかで、読み味が変わります。

そして、肝心の作品は…
美容関係の仕事で同僚の女性たちに揉まれ、傷を負ったと思われる主人公・白葵。彼女はゲーミンググラス越しでしか会えない架空の男性・晋太に背中を押され、自堕落な生活や自分自身を少しずつ変えていきます。

度重なるリセマラで召喚された、ゲーム世界の住人・浅田晋太郎。
「お前と一緒だぜ、よろしこ!!」

このセリフ、最初は笑えたのですが。2人のその先を見てから戻ってくると、なんだか暖かく感じるんですよね。

また、料理をする「私」のさり気ない独白。

『こういう無駄で不自然な行為を厭わないことで、人は「別の誰か」になれる』

このセリフの中に、白葵の諦観と、それでも自分を変えていきたい静かな意志が感じられました。

最後に 作者の花森遊梨様へ

架空彼氏の晋太と、どこか共感できる白葵の日常を、画面越しに覗いているかのような、不思議な物語…素敵な作品をご紹介いただき、ありがとうございました!