第7話 正体の発覚
「貴様、邪賢者ラークだな?」
「え?」
俺より先に反応したのはサーシャだった。
「彼は私が召喚した方ですよ?しかも、邪賢者とするにはあまりにも判断材料が足りないのでは?」
サーシャがそんな疑問を溢したが、初老の男は反論する。
「私は20年ほど前に邪賢者の魔法を見たことがある。その頃はまだ無名の魔法使いだったが、やつが使う魔法陣が今見たものと全く同じだった。」
「え?」
「しかも、この魔法陣は魔力をある一定の魔力量以上の魔力をこめればこめるほど魔力効率と威力が跳ね上がるものになっている。そんな膨大な魔力を持っているのはこの世界で2人だけだろう」
「その2人とは?」
「聖王国の皇太子と邪賢者だ。だが、皇太子は顔が割れておる」
「となると、リョウスケ様が邪賢者であると」
「そうだ」
まさかの昔見られてたパターンかよ。しかも、あの魔法陣の構造を完全に理解してやがる。
もう逃げるしかないな。
「そこのじいさん」
「なんだね?邪賢者。命乞いでもするつもりかな?」
「そんなことはしませんよ」
「じゃあ遺言かな?聞いてやってもいいが帝国には届かんと思うことだな。ははは」
(性格変わった?)
「遺言?笑わせないでください。私は死にませんよ。それよりあなたの推理、お見事です。補足するとあの魔法陣は魔力を無限にこめられるってことぐらいですね」
「魔力を無限にこめられる魔法陣などあるものか」
「あるんですよねー。まあそれは置いといて、俺はここで死にたくないんですよ。なので逃げる前に最後の挨拶とでも行かせていただこうと思いましてね」
「逃げるだと?笑わせるな。この鎖は魔法の使用者が操作しないと消えない。しかも魔法陣は私にしかわからない防御済みだ。例え解除の魔法を当てて消そうにも不可能さ」
聞いてもないのに仕組みを教えてくれた。調べる手間が省けて助かる。
「なるほど。つまり、お前の言い方的に魔法陣を消してしまえばいいんだな。なら簡単だね。【
相手が反論する前に魔法を使用する。相手が何を想像して防御化したのかは知らないが、この魔法陣を見るに闇魔法を防ぐものは入っていない。それを見越して解除魔法を使ったのだが、予想通り簡単に外れてしまった。
「な、なんだそれは!?」
「なにって解除魔法です」
「そんなものまたかけてしまえばいい。フリーズチ…「【
とりあえず魔法を使えないようにしておいた。話も通じなさそうだし殺しておくか。
「なぜ魔法が使えない!」
「魔力を吸い取る魔法だよ。今お前の魔力は0だ。」
「そんな魔法聞いたことがない!」
「そりゃそうでしょう。俺が作ったやつですし。」
「この野郎。コケにしやがって【
唱えるが出ない。そりゃそうだ。
代わりに【
「ぐわあぁぁぁぁ!?」
「うるさいですねえ。殺しましょうかね。ダーク・カッ…「涼くん!」」
殺そうとした時、結衣の声が聞こえた。
「涼くんやめて!涼くんは人を殺すような人じゃないでしょ!」
「結衣、この爺は俺を殺そうとしたんだぞ」
「でもダメなものはダメ。殺すなら2度と喋らないからね!」
「うぐっ」
結衣との絶縁はきつい。とりあえず爺には拘束魔法をかけておいた。
それを見て結衣がこちらに来る。
「落ち着いた?」
「あぁ」
「私はね、涼くんが悪い人だとは思えないの。だから、話を聞かせて?たぶんずっと隠してたことなんでしょ?」
「…なんのことだ?」
「今更とぼけなくても気づいてたよ。事故に遭ったぐらいからぼーっとしてる時が増えたもん」
まさか、結衣に勘付かれてたとは
「…俺の負けだな。結衣にはちゃんとはな…「死ねぇぇぇえ!」」
誰だ邪魔したのはと思い後ろを向くと白いローブを被った女が小型のナイフのようなもので攻撃して来ていた。
だが、カーンという高い音が響いてナイフは女の足に刺さった。
「うっ...」
その様子を見た周りの魔術師や騎士は次々に攻撃してきた。
「防御魔法も永遠には持たん!数で押せ!」
「はぁ」
ため息を吐いている間に魔法での攻撃が続々と当たる。魔法耐性のスキルですべて防ぐことはできているが、目障りなのには変わりない。
「【
とりあえず目に見える範囲ならどこでも転移ができる
「鬱陶しいよ君たち。結衣に当たったらどうするの?」
「邪賢者め。小賢しい真似をせず大人しく投降しろ!」
「質問の答えになってないよそれ。まあいいや。この国には用もないし、帝国に帰るとしよう」
「涼くん...どこに行くの?」
「結衣、今はまともに話をする余裕はない。話をするのはまた今度にしてくれ」
それだけ告げると【
そして、居城にある自室をイメージして魔導具に設置した転移結晶に魔力をこめた。
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最後までお読みいただきありがとうございます。
短いですが、第1章がここで終わりとなります。
第2章は6/27(木)に投稿する予定です。
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