第1話 勇者召喚

 「成功だ!!」


 誰かのそのような声で起きると景色が一変していた。


 さっきまで飯を食った後は眠くなるという世の摂理に従って、居眠りしていたはずだ。

 とりあえず辺りを見渡すと、周りにはよく見知った顔が40人ほど転がっている。全員死んではいないみたいだが、意識がないものが多い。

 さらに一段上がったところには煌びやかな服を着た初老の男性と純白のドレスを着た女性がいる。その後ろには護衛だろうか、重そうな鎧を着た人が10人ほどいた。


 「父上!召喚成功です」

 「よくやったサーシャ。そなたは休んでおれ」


 サーシャと呼ばれた女性は初老の男に言われた通り後ろに下がった。


 「おい、そこのジジイ。どういうことか説明しやがれ」


 後ろから怒声が聞こえた。

 振り返るとどうやらクラスでも中心人物だった中村健斗らしい。

 すでに他の生徒も気が付いたのか全員不安そうな顔を浮かべている。


 「陛下に向かってジジイとは何という…」

 「よい。はるばるこの世界まで来ていただいたのだ。気にしないでよい。」


 後ろにいた鎧の男が大剣を健斗に向けたが、陛下と呼ばれた男の一声だけで剣を治めた。

 どうやら初老の男は国王だったらしい。


 「さて、勇者様方には説明をしなければならん。サーシャ、頼んだぞ」

 「はい。これから勇者の皆様には我がラスベラ王国と、この世界『クレシダ』の人間たちを守るために、偽人とそれを統べていると言われている『邪賢者ラーク』を討伐してほしいのです。」


 ん?名前が出てきたな。


 「ちょっと待て」


サーシャの説明を遮ったのは中村だった。


 「俺たちはただの高校生だ。いきなり戦えと言われても無理だ。さっさと帰してくれ」

 「そうだそうだ!」「戦いなら自分らでやってくれ!」


 他のクラスメイトたちも口々に反対意見を言っていく。普段、臆病なところを見せない結衣もかなり怖がっているらしく、俺の後ろで縮こまっている。


 「ご安心を。皆様には召喚時に強力な『固有スキル』が与えられているはずです。それに勇者様方は皆、高いクラス値を持っていますので、固有スキルを使わずともその辺の魔法使いならまず負けません。」


 説明を聞いたクラスメイトたちは理解できていないのか固まってしまっている。


 そんな中サーシャが爆弾を落とした。


 「それと、皆様を帰す方法は我々にはわかりません。」



 「「「「はあぁぁぁぁぁ?」」」」




―――――――――――――――


 最後までお読みいただきありがとうございます。


 本日は初投稿ということで2話更新させていただきました。


 これから週に数回のペースで緩くやって行こうと思います。


 最後に『面白かった』『続きが気になる』などの方はフォローや⭐️で応援していただけると嬉しいです。


 よろしくお願いします。


 

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