「別れの刻〜冷たかったアナタにさようなら」
椎茸猫
「別れの刻〜冷たかったアナタにさようなら」
ねえ、覚えてる?
あなたが小さかった頃、最初に頼ったのは、たぶん私。
固いものでも何でも、黙って受け止めてあげた。奥の奥で、誰にも気づかれない場所で。
ちょっと欠けたときも、何も言わなかった。
でもね、冷たいものもしみるようになって、夜中には泣きたくなるくらい痛くて……それでも、あなたは知らんぷりだった。
それでも、私だけは残ってた。
前の子たちはいなくなっても、私はずっとここにいたのに。
ようやく会えたと思ったら、白い部屋で、知らない人にこう言われたの。
「もうダメですね、抜歯です」って。
ふふ、あっけないのね。
あなた、少しほっとした顔してた。
それがちょっと、さびしかった。
最後にひとつだけ。
今度は、もっと大事にしてあげて。
……でもね、私みたいな子は、もう二度と生えてこないのよ。
「別れの刻〜冷たかったアナタにさようなら」 椎茸猫 @Runchan0821
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます