消毒液の香りがしてきそうな、静かな空気ただよう病院の感染対策室を自らの城とする室長・真澄。
彼女の静かな城は週に一度、ギャル営業・ひまりの登場で打ち破られます。
毎話静かな雰囲気から始まり、ひまりの元気いっぱいの挨拶から一転して二人の対話劇は幕が上がる。
毎度ひまりのハツラツとしたギャルマインドが、室長の(読み手のも!)斜め上をいく面白さ。
冷静な大人(室長)と推しごとに全振りギャル(ひまり)のテンションに温度差がある会話がもう基本的に面白いのですが、それでいて心をぐっと掴むような話も多くて読者を掴んで離しません。
天真爛漫なギャルに振り回されながらも少しずつ近づく室長との距離。
話を追うごとに冷静沈着な室長の知られざる一面が少しずつ明らかになっていくのも読む人を魅了します。
クスッと笑えて、時々じんわり泣きたくなるような温かい気持ちを残してくれる——。
どの話も、読み終わる頃には不思議と明日もがんばろうと思える活力がわいてきます。
日々の疲れを癒してくれるこの作品は、ぜひ土曜日の夜、落ち着いた時間帯にテレビドラマで見たいと思いました。
この二人のあんなところやこんなところ、好きなセリフやいいシーンを誰かと語り合いたくなる、たくさんの人に読んでほしいと思った素敵な作品です。