【詩のしずく】

月花心花

『櫻月夜』

春冷えの 明けの刻

夢の岸より うつし世に

行ったり来たりの 夢心地


今しばらくは 儚くも

一時ひとときさちに 浸りけり


おもむろに 筆をとり

うつらうつらと したためし

風に漂う 残り香に

悠久の想い つのりゆく


色とりどりの

重きころも脱ぎ去りし

羽衣まとい 天に参らん


明けの明星 瞬きし

衣擦れの音で 今宵また

言うたかどうやも 泡沫うたかた

夢とうつつの 時狭間ときはざま


永久とこしえに 流るる時は もう

いにしえの闇に 葬りし

薄れゆく 記憶の彼方

舞い散る花よ 届けておくれ


櫻香る 風の糸

遥かに想う 彼方へと

せめて

でる月が 等しいと願う

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