『ヒト』の転生〜生活・戦闘・サバイバル〈プロローグ短編〉
マロッシマロッシ
第1話 地球と3人を見つめる男女
殺風景な部屋、見目麗しい金髪で長髪の女と筋骨隆々、同じく金髪だが短髪の男が高級なスーツに身を包み、テーブルの中央に映し出された地球と3人の男女を見ている。
「…で、あの3人召喚するのだな?」
「そうね…魔力が微量しかない地球で全員、個性的な能力を持っているわ。エネルギー弾と真空空間を使いこなす老婆。身体能力向上を使いこなし、銃を持たせれば百発百中の男。電撃を操り、気配遮断が出来て、あらゆる仕掛けや暗号を解除できる女性ね」
男は女から話を聞いて、少し考えて口を開いた。
「…送り込む人材としてはバランスは良さそうだな。戦闘面に関しては偵察に前衛と後衛と分けられそうだ…しかし、老婆には辛かろう…あの世界は…後の2人も能力は素晴らしいがな…」
女は微笑みを絶やさずに男に言葉を返す。
「ふふ…知ってるくせに…あの3人はもうすぐ死ぬわ。地球から魂がここに来たら、全員に最適な若くて頑丈な肉体をプレゼントするわよ。もちろん病気や老い、障害は全て消してね…」
男は軽く頷き、注目している3人の動向を女と静かに見つめた。
しばらくすると、老婆はベンチに座っていたところを銃で、後ろから頭を撃ち抜かれた。男は標的を始末した後に体に巣食っていた癌のせいで路地裏に倒れた。そして、女は土砂降りの中、強烈な落雷を浴びた。
男と女は3人の最後を確認、ほんの僅かな 時間いたたまれない表情をしたが、女から口を開いた。
「…さて、と…ちょっぴり忙しくなるわね。準備は良いかしら?」
「ああ。人選なんかは君が決めた事だ。俺は補助に徹するよ…好きにすると良い」
女は姿見鏡を出現させ、髪やスーツの着こなしを整えながら話す。
「うーん…やっぱりさぁ、神を表現した、地球の彫刻像にある様な、服装の方が威厳が あって良かったかな?」
「魂を引き寄せる…なんて事が出来る俺達は、地球人から見たら神っぽいかも知れんが、特に人々を救済をしている訳でもなく、奇蹟を起こしている様な存在ではないからな…この様な出立が妥当だろう?」
男はネクタイを締め直しながら答えた。
「そうね…3人に気持ち良くあの世界に行ってもらえる様に努めましょうか…じゃあ、説明の補助と話が決まったら転送をよろしくね ナイン」
「ああシーラ」
ナインがテーブルと3脚の椅子を出現させると、先端が炎の様に揺らめいた3人の魂が到着。人型に変わり、それぞれが椅子に座った。シーラは微笑んで3人に挨拶した。
「こんにちは。私はシーラと言います。お話を聞いて頂けますますか?嶋津タエさん、ミハエル・オイゲンさん、ナターシャ・トロミコフさん」
今の現状を理解しようとしている3人を見つめながら、ナインが腕組みをしたまま話し掛ける。
「君達は地球で死んだ。今は魂の状態だ…第2の人生を歩むつもりはないか?」
タエとミハエル、ナターシャは自身の最後を思い出し、ナインとシーラは死後の世界にいる神か天使の類と理解、話を聞く事にした。
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