血染めのベティ
しゆ
影のある男
今日の授業を終えて校舎を出ると、入り口を出てすぐの所に男が立っている。
「お嬢様……お疲れ様でした……」
「あっ!善光!!今日もお迎えありがとう!!」
今日も今日とて覇気を全く感じないこの男は、名を「喜多善光」と言う。
あたしが手伝っている実家の家業において、部下として動いてくれている人達の1人だ。
名前に全くそぐわない陰気で全く光のない瞳が特徴的な男である。
「いえ……仕事ですので……」
「仕事だとしても、毎日だなんて面倒じゃない?」
「いえ……」
善光に頼んでいるのは、毎日の登下校時の身辺警護。
あたしはいらないって言ったんだけど、お父様の意向で護衛を最低1人はつけることになっている。
「それで?今日の報告は?」
「はい……お嬢様の周囲を探ろうとしている者が2名、どちらも処分してありますが……」
「そう、いつもありがと!手間が省けるわ」
「いえ……」
善光はこんなのでも仕事はきちんとこなす。
最初は要らないと言ったけれど、今では手放せないくらい便利な人材になっている。
「さぁ、帰ろ善光!!今日も仕事しなきゃ!!」
「はい……お嬢様……」
今日もあたしの「仕事」の時間が始まる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます