第4章
__数日後の夜
また、あの店に来てしまった
いつも通り案内されると
すぐに飛悠が席に現れた
「…こんばんは」
「こんばんは…」
今日は自分でも少し変な緊張があった
あの日の、あの光景が
まだ頭の中に残ってたから
「また来たんだ」
「…うん」
飛悠は静かにグラスを手に取る
氷がカランと音を立てた
「学校、相変わらず?」
「…つまんない」
「だろうね」
少しだけ口角が上がる
「同い年の男子なんて、面白くないでしょ?」
「…なんで分かるの」
「顔に出てる」
その返しに
ムッとしたけど反論できなかった
飛悠は、何でも見透かしてくる
でもそれが嫌じゃなかった
逆に
どんどん心を持っていかれるのがわかった
「ねえ、飛悠くんってさ…」
「ん?」
「いくつなの?」
飛悠はグラスを回しながら、ふと視線を落とした
「そんなに気になる?」
「…別に」
言葉とは裏腹に
心臓はドクドクとうるさく鳴ってた
「まぁ…そこそこ大人だよ」
はぐらかされた
「…教えてくれても良くない?」
「教えたら、ますます通えなくなるかもよ」
「…何それ」
わざとらしく視線を逸らされた
──なんでそんなふうに濁すの
私が年下だから?
やっぱり子供扱いしてるんだ
「…ガキじゃないもん」
つい口に出てしまった声に
飛悠は、一瞬だけ表情を崩した
「そう?」
それ以上は何も言わず
またグラスを口元に運ぶ
この距離感
もどかしくて
でも心はどんどん惹き込まれていく
自分でも、もう止められないのがわかってた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます