第3章②



 


放課後

今日は寄り道せずに帰るつもりだった


だけど

ふと足が向いたのは、あの繁華街の通りだった


「…なんでこっち来ちゃったんだろ」




自分でもよく分からないまま

吸い寄せられるように歩いてた


まだ夕方

ネオンが光るには少し早い時間帯の街


少し先に、見覚えのある横顔が目に入った


 


──あ…


 


黒のシャツにジャケット

少し無造作な髪

その隣には、見たことのない女の人


二人は並んで歩いていた


女の人が何か話しかけて

飛悠は少しだけ笑って頷いてる


仕事の顔とはまた違う

柔らかく見えたその笑顔に、心臓がズクンと鳴った


 


…何してるんだろう


 


アフターなのか、それともプライベートなのか



考えたくないのに

頭の中でぐるぐる回り始める


「……」


気付かれないように足を止めて

小さく背を向けた


見たくなかった

でも、見てしまった


あの人の隣に立てるのは──私じゃないんだ


 


胸の奥が苦しくて

自分でびっくりした


__こんな気持ち


今までの誰に対しても感じたことなんてなかったのに




「…はぁ」


ため息混じりに歩き出す



___踏み出すたびに



心臓がまだドクドクとうるさく鳴ってた

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