「大人の昔話②」ジュンアイ

M6363

第1話

昔そのまた昔、まだ神様や悪魔色々なあやかしや、獣と人間が共に暮らしていた時代の 話しです。


僕の住む村は、平和で最近の住人達の話題は、もっぱら誰々が亡くなったや、腰が痛い等お互いの身体の不調を話す事位である。


そこに住む僕も、また平凡な住人の一人である。


僕の住む村には、昔から特別なお社がありそこには、縁結びの神様が住んでいて、どんな人でもそこで祈れば、恋人が出来ると言う 言い伝えがある。


僕は退屈でこれからもずっと、代わり映えのしない生活が、続きそして死んでいくのだと感じていました。


周囲の人間を見ていて

恋人でも、(いればなぁ)と思い何か変わるのかも知れないと考えました。


僕はあまり期待をせずに、お酒とお米を少しだけ持って、お社に行き恋人が欲しいとお祈りをしました。


祈りを捧げたが、特段何も変わらず、家に帰りいつもの様に、自分の夕御飯を黙々と作り

食事を終えて


明るいうちに汚れた身体を冷たい水と濡らした布で拭き


いつもと同じ様に、家の床で、横になり眼を閉じて、特別今日も何もない日を、終えようとしました。


僕は夢の中で、綺麗な顔立ちの中性的で、 神秘的な雰囲気を持つ人に語りかけられました。



「私は(オオクニヌシノミコト)と言います」


「私に、美味しいお米とお酒をありがとう、ありがたく頂きました。」


「お礼に、あなたの望みを叶えてあげましょう。」


そう言うと、僕の手に緑色の綺麗な勾玉を、一つ乗せて


「この勾玉を持って、あなたが心から愛している人に、自分の想いを告げると、あなたが死ぬまであなたの事を想い、永遠にあなたと添い遂げるでしょう。」と言って暗闇に消えていきました。


僕はふと目が覚めて起きると、手に夢で見た綺麗な緑の勾玉を握り締めていました。


僕は、神様の贈り物に感謝して緑の勾玉の、使い道について考えながら見つめていました


僕は密かに想っている女性がいました

その女性は、村一番の美人で優しく強く とても、正義感が強い人で、全ての住人に 愛されていました。


でも、その女性に許嫁がいました

その人は、村一番の猟師でもあり村を守る 兵士でもありました。


二人は両想いで、とてもお似合いの 誰もが羨み

未来がとても明るい二人でした。


僕は二人共、大好きで大切な友人でも あったので僕も心から祝福していました。

なので僕は自分の気持ちを封印していました


ある日、平和な村へ盗賊達が攻め込んで 来ました。


村の男衆が、武器を取り 女性や子供や 年寄りを村の地下に隠し 盗賊達と戦う準備をしました。


僕も、自分の好きな村や 友達を守る為に

震える手を抑え勇気を振り絞り武器を とりました。


盗賊達は人数がとても多く30人位で 襲い掛かって来ました。


勇気のある猟師の男は、大声で 「皆行くぞ!村を守る為に俺に続けー」 と言い

盗賊達に向かって行きました。


それを見た男衆も「うおぉー!」と叫び 先に進む男を、追いかけ盗賊達に立ち向かいました。


僕も命がけで戦いました

慣れない槍をブンブン振り回しながら 弱そうに見える僕に盗賊達は一斉に 襲い掛かって来ました


盗賊の二人程が僕が振り回した槍に偶然に

当たり運悪くそのまま亡くなりました


各所で怒号や金属音がなっている


僕は、慣れない事に疲れて息切れをしながら

音が激しい所に向かって行きました


そこには何人もの盗賊や村人が 倒れ亡くなっていました


その場所で一人の盗賊頭らしき 大柄な男と猟師の男が戦っていました

盗賊の

バキーンと猟師の男の剣が折れ盗賊頭が止めと斧を猟師の男の頭へ振りかぶろうとした時


僕は盗賊頭に体当たりをして攻撃を止めようとしました


盗賊頭の男は少しふらつき斧が頭ではなく猟師の男の肩に刺さりました


盗賊頭は、僕を吹き飛ばし猟師の男に刺さっている斧を引き抜こうとしました


猟師の男はその隙に折れた剣を盗賊頭の喉に突き刺しました


盗賊頭は口をパクパクしながら血を吹き出し

(ドン)と倒れて絶命しました


盗賊達は親分が倒されたのを見た皆逃げて行きました


僕は倒れている友人の猟師の男に慌てて駆け寄りました


僕の友人は、口から血を流しながら 「どうなった?あいつら逃げたのか?」 と言いました


僕は泣きながら「あいつらは逃げた」と 言い友人の肩に突き刺さる斧を、抜き肩の傷を自分の服を破き縛り止血を試みました


泣いている僕をみて笑いながら「おまえは相変わらず泣き虫だな、俺は多分死ぬおまえがこれからはあいつ《彼女》を守ってくれないか?」と言いました


僕は泣きながら「何を言ってるんだおまえがいないと彼女あいつは悲しむぞ一緒になって幸せになるのだろ?」と言いました


友人は笑顔で「俺でなくてもあいつを幸せに出来るさ、親友のおまえにならあいつ《彼女》を任せられる、頼むこのままだと俺は安心して死ねないだから頼む俺の代わりに守ってくれ」と言ってそのまま息を引き取りました


僕は涙を拭い友人を背負い村まで戻って行きました


村は一部壊されましたがほぼ無傷で村の犠牲者は僕の親友と村の住人の男が四人程が亡くなりました


僕はもう動かない背負っている友人を下ろし「おまえが守ってくれたお陰で村は無事だ、ありがとう」と言いました


すると向こうから彼女が真っ青な顔をしてこちらへ来て、もう動かない猟師の男に泣いてすがりつきながら「一生傍にいてくれる、て言ってくれたのにはお腹には、私達の子供がいるのよ」悲鳴にも近い声で泣き続けていた


僕は緑の勾玉を握り締め彼女に「あいつの代わりにはなれないが僕が君とお腹の子を死んでも守るから必ず約束する」と言って泣いている彼女を抱きしめました。


月日が経ち


僕の家には彼女と子供が住んでいました

僕達は家族になったのです


僕はあいつの分まで必ず幸せにすると決めて死に物狂いで働きました


彼女に似合う着物を一月に一回は買うようにしました

息子にはひもじい思いはさせないように服も綺麗な服を必ず仕事の度に買ってきました


僕は彼女と息子の笑顔が見られれば何もいらないと感じる位幸せな日々を過ごしていました


ある日僕は良いお金になるので仲間と一緒に盗賊退治に行くことになりました


遠くの谷に潜む盗賊を退治したのですが不覚にも右目に深い傷を負いました


それから彼女は僕が何を買って来ても何をしても笑顔でいてくれませんでした


いつもの様にかんざしを彼女買って来ても悲しそうな顔をして僕をみてごめんなさいと言う様になりました


僕は彼女があいつの事を思い出して今でも辛いのだろうと胸が苦しくなりました


僕は彼女を笑顔にしたいと思い息子と一緒に森へ狩りに出掛け大きな熊を仕留めてきました


僕が彼女に「今日はおまえの好きな熊鍋だぞたくさん食べろよ」と笑顔で話しかけました


すると彼女は悲しそうに僕の顔をみて「いつもありがとう、本当にごめんなさい」と言い熊鍋を息子と一緒に泣きながら食べていました


僕は彼女が何故泣いているのか理解が出来ませんでした


ある雨の降る日の夜僕はふと目が覚め彼女の寝顔を見に行くと寝所に彼女の姿が見えず

僕は家中を探しても彼女は見つからず…


もしかしたら彼女がいるかも知れない場所が頭に浮かびました


複雑な気持ちを抱えながらそこへ向かうとボクの親友のお墓の前で泣いている彼女を見付けました


声を掛けようと思いましたが僕は声をかけてはいけない気がして何も言わずに家に帰りました


僕は家についてから彼女の事を考え始めました


(そうか僕は、神様からもらった緑の勾玉のせいで彼女から他の人を好きになる自由も、あいつの事を想い続ける自由も奪ってしまった)


僕は1つの決心を固めました

その日からもっとがむしゃらにお金になる仕事を沢山しました


時には人の命を奪う嫌な仕事もお金の為と行い続けました


そして二年が経ち彼女と息子が不自由なく生活が出来るように広大な土地と家を買いお金も沢山貯めて一生生活が出来る位になりました


その日の夜僕は彼女と息子に手紙を書きました


彼女には大切な人がいたのに僕と一緒にいてくれた事に感謝と本当に幸せだった事そして心から愛している事を書き


息子にはお母さんをこれからは僕の代わりにしっかり守って自分も幸せになって欲しい事そして彼女と同じ様に愛していると書いて

二人の寝ている枕の側に置き


僕は村の近くの深い滝に向かいました


そう僕は自分の命を断って彼女にかかった神様の力を解こうと思いました


神様が緑の勾玉をぼくに渡す時「僕が死ぬまで永遠に僕の傍にいて僕の事を想い続ける」と言っていた事を思い出して彼女には自由になって欲しいと考えたのです


そして僕は滝から飛び降り自分の命を断ちました


ふと気がつくと真っ暗な空間に僕は浮いていました


僕は辺りを見るとそこには僕に緑の勾玉をくれた神様(オオクニヌシノミコト)が立っていました。


神様は悲壮に充ちた顔を僕に向け「あなたはなんて愚かな事をしたのですか、もう少し考えれば分かる事なのに…」

と言いました


僕は自分の考えや気持ちを神様に全て伝えました


神様は、深くため息して「全て見ていたので知っています、そして彼女の事も知っています」と言って神様が大きな鏡を出して「あなたが滝から飛び降りた後の光景を映しますよ」と言い鏡が大きく光り出すとそこには彼女が映し出されていました


そこには泣きながらあなたを探す彼女が映し出されていました

裸足で外を走っているので足から血が滲み出ていました

そして滝にたどり着きあなたの亡骸を見付け血だらけの僕を抱きしめ座り込んでいました


僕は神様に何故彼女の魔法は解けた筈なのに僕を必死で探していたのか理解が出来ないと聞きました


すると神様は「魔法などなくとも彼女はあなたの事を愛していました、最近笑顔がないのはあなたがムチャばかりしていつか自分の傍からいなくなってしまうのではないかと恐れていたからです。」


僕は親友のお墓の前で泣いている彼女を見てまだ昔のあいつの事が忘れられないと思ったと神様に話しました


神様はこう言いました

「何故泣くのか、それはあなたに愛されて彼女自身も、とても幸せで充実した日々を過ごしていました、あなた自身がいつも私達のせいでボロボロになり盗賊に片目を潰されても私達に心配をかけまいと笑顔でいてくれる事でより胸が苦しくなり私達さえいなければこんな事にはならないのにと彼のお墓の前でずっと泣いていました」


僕は鏡から映し出されている彼女の姿をみて彼女を信じられなかったことを悔やみ、そして以下に愛されていたのかを今更に知り心からやり直したいと望みました


神様が「一部私の説明不足の責任もあるのであなたの望みを一つ叶えましょう」と言いました


僕は過去に戻りたいと神様に言いました

神様は、「ではあなたが崖から落ちる前に戻れば何もなかった事になるので、そうしますか?」と言いました


僕はある決意を固め神様に「いいえ違います、もっと昔にもどれますか?」と


神様は僕の眼をみて僕が何をやりたいのかを見抜き


僕に「それをしたら確実にあなたの事を想っている人が一人悲しみを背負いますよ、それでも本当に良いのですか?」神様が言いました


僕は小さく頷きました


神様は悲しそうに笑い僕に「あなたは本当にに愚かで悲しい生き物ですね…」と言った後


「分かりましたでは、盗賊達が村を襲った時に戻りますか、でも一つ忠告があります、あの時に戻っても必ず誰かの命一つを捧げないと死神が怒り全ての魂を刈り取りますよ!」


僕はもう二度彼女達に会えなくなることがとても辛いがそれで又笑顔が見られるなら後悔をしないという僕の想いを神様に伝えました


神様は、頷き「あなたの想いが私に伝わりましたではあなたの願いを叶えましょう」と言って手を三回叩き気付くと僕の目の前にはあの時の盗賊頭と親友が戦っていました


パキーン

親友の剣が折れて盗賊頭の斧が

僕の親友の頭にめがけ振り下ろされ様とするその時、


僕は盗賊頭の斧を自分の身体で受け止め手に持っていた槍を盗賊頭の喉に渾身一撃で突き刺しました


盗賊頭がズーンと倒れ盗賊達は逃げて行きました


僕はその光景をみて自分の役目が終わったとほっとしていました


僕の身体に深く突き刺さる斧から血液が沢山出ていました


僕はもう死ぬんだと空を見ていると親友が泣きながら僕を抱えて「何故俺を庇ったおまえが死んだら俺は生きていけない」と叫びにも近い声で僕に言うので


僕は「何を言っているんだ、おまえには大切な彼女と子供がいるんだぞふざけた事を言うな」と僕が言うと


親友は「本当に愛しているのはお前なんだ!」

僕が思わず口から血を流しながら「はぁ?」と言うと

親友が泣きながら「分かっているお前が愛しているのは彼女なのだろうでも俺はお前の事を愛おしくてたまらないだ」

「気持ち悪いよな男同士だしでもこの気持ちは本気なんだだから縁結びの神様にもらった勾玉の力を借りてお前に自分の想い告げてこの場所で死ぬつもりだったんだ」


僕は意識が遠くなりながら「ちょっと待てなら何で彼女と婚約をして子供まで作ったんだ?」と聞きました


親友が「俺はお前の子供は産めない、それに結婚も出来ない、ならお前が愛している人と俺が子供を作りその家庭をお前に守って貰えれば俺の血を引く子供と彼女が一緒に暮らす事でお前と繋がれると思ったんだ」と言うと


親友はいきなり自分の首に短刀を突き立て様とした

僕は意識が朦朧もうろうとしながらも素手で短刀を掴み

親友に「いきなり何してんだ死んだら元も子もないだろう」と言うと


親友は「お前がいない世界なら死んだ方がましだ、あの世で添い遂げよう」と言うので

僕は拳を握り締め親友を思い切り殴った


僕に突き刺さった斧のところからより血が吹き出した


僕は親友に「僕の事を本当に愛しているのなら彼女とお腹の子供を死んでも守れ、それが出来なければ死んでも許さん」と僕は言った後死んでしまった


親友は僕の亡骸の手を握り締め「必ず約束するお前の事を愛しているから」と緑色の勾玉を握り僕に誓った


数年後…

村一番の幸せな家族は誰もが口を揃えて

僕の親友夫婦だと言いました


それをみていた神様が魂になっても見守っている僕に対して

「愛とは様々な形がありとても美しく儚い《はかな》いものなのですね、あなたは頑張りましたよえらい」と一言言って天上界に帰って行きました


僕は親友と彼女と子供をこれからも見守り続けるのでした。













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