第5話 ロリorショタと、美男美女。
目の前にレーヴィ少年よりも小さなロリ? それともショタ? 性別不明な子供と、その左右にはめちゃくちゃ美形な青年と、同じくめちゃくちゃ美人の女性が正座をしている。
周囲は上下左右、どこを見ても真っ白な空間。
野営地について、眠った途端にこれだよ。
そして目の前の人たちは全員金髪で白い服なので、目に痛い場所だわ、ここ。
「この度はこちらの不手際により、貴殿には大変ご迷惑をおかけしました。深くお詫び申し上げます。まことに申し訳ございません」
そう言ったのは真ん中に座っているロリなのかショタなのかわからない、性別不明の恐ろしく奇麗な容姿の子供が、俺に向かって深々と頭を下げてきた。
ザ・土下座スタイルの子供とは真逆に、左右の美男美女は不貞腐れた顔をして、そっぽを向いている。
そして、そんな美男美女の態度に、性別不明の子供は激怒した。
「お前たちも詫びを入れんか!!」
真ん中に座っていた子供は、左右に座っている美男美女の頭を掴んで、そのまま下に押し倒した。
ゴン!と鈍い音がする。
「「うぎゃっ!」」
頭、思いっきりぶつけたな。
「いってぇー!!」
「いったぁい!!」
美男美女は悲鳴を上げるも、子供に頭を押さえられているせいか、顔を上げることができない。
「くっそ! 手ぇ放せよ!!」
「髪がぐちゃぐちゃになっちゃうっ! 放してぇ!」
「やかましい! ちゃんと謝らんか!!」
子供の圧に押されたのか、美男美女が渋々謝罪を口にした。
「サーセンしたー」
「悪かったわね!」
美男はこれっぽっちも悪いと思っていない感じの謝罪。美女の方は本当に謝る気があるんか?
それでも一応、謝罪の言葉らしきものを口に出したので、子供は美男美女の頭から手を離した。
「無作法者で申し訳ありません」
態度の悪い二人の様子に、子供は再び謝罪する。
「佐久良出海様。どうか御身に起きた説明をさせてください」
名前、知ってるんかい。
「自己紹介」
俺の短い言葉に、子供ははっとした顔をして名乗り上げた。
「私は管理者の一人、オルディネと言います。こちらの男性体はグアポ。女性体はグアパ。二人は私が作り上げた生命体で助手です」
生命体……って、ホムンクルスか?
いや、この感じだとそんなんじゃなさそう。
この目の前にいるお子様は、『神』という種族なんじゃないかなー? たぶん。きっと。おそらく。めいびー。
聞きたくないけど聞くかぁ。
「管理者ってなんの?」
「数多ある世界の、です」
はい、神様確定ですよー。
「それは『神』というものじゃないのか?」
「人の子の中には、我々のことをそう呼ぶ者もいます。しかし、我々の認識は『時空や世界を管理する者』です」
んー、まぁでも、神様とはあんまり変わらんのだろうな。
おそらくオルディネの様子から見るに、呼び方が違う程度のことなんだろう。
「で? 俺に頭を下げたのは、その二人が何かやらかしたからか?」
「あたし悪くないもん!」
いきなり話しに紛れ込んだのは、グアパと紹介された美女の方だった。
「悪いに決まっておろうが! この戯け者が!」
「だって! こいつが! こいつがあたしの邪魔をしたのよ!!」
オルディネの𠮟責にグアパが反対側にいるグアポを指さして叫ぶ。
「あたしはオルディネ様に言われた通り、決められた聖女をラテの世界の召喚陣に送っただけよ!」
聖女! 聖女ときたかぁ~。
「それなのに! こいつが邪魔して! 本当なら誰も近づかせないようにしていた結界を解除して、他の人間を移転の召喚陣がある場所に呼び寄せたの! おかげで一緒にラテに送ることになったじゃないの!」
「黙らんか!!」
オルディネがグアパの頭をひっぱたく。
つまり、これは……。
「聖女召喚に俺を巻き込んだのか」
俺がそう訊ねると、再びオルディネがグアポとグアパの頭を押さえて土下座した。
「誠に申し訳ございません!!」
なるほどね。あの時、足元に浮かんだのは、グアパ曰く『ラテ』という世界に召喚される、移転の召喚陣で間違ってなかったわけだ。
なんでそんな召喚をすることになったのかとか、そういった話は聞きたくない。というか、それを知っても、どうにもならんことだろう?
やっちまったことに、いつまでも文句を言っても仕方あるめー?
目下、俺が一番知りたいことは、元の世界に戻れるかどうかということだ。
「んじゃ、元に戻してプリーズ」
「そ、それが……」
口篭もるオルディネを思わず睨みつけてしまう。
子供の姿をしてるからって、俺がそれで絆されると思うなよ?
「あ、あのっ、召喚キャンセルをしようと思ったんですよ!! でも、できなかったんです!」
「なんで?」
「……佐久良出海様。貴方ちょっと、規格外の人なので」
「はぁ?」
「貴方、普通の人間じゃないので!!」
失礼な物言いをするガキだな。
「っていうか貴方がたご兄妹。特に四番目の方と七番目の方。それから貴方と、妹様は普通じゃないんです!! お心当たりあるでしょう!?」
ギクッ。
四番目の兄は一番人畜無害そうな顔をして、兄弟の中では一番怒らせたら駄目な人だ。
七番目、俺のすぐ上の兄だけど、あの人は一応パートナーの人が手綱を握ってくれてるから、まぁ、それほどでもない。
最後の末っ子の妹。あれもなんか……、超常的な存在に異様なほど好かれるおかしさがあった。
俺の認識では四番目の兄とそれから妹は、兄妹の中で一番常人のように見えて、でも一番常人からかけ離れている存在だ。
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