epilogue 灯る月の舘

バー「星影」は、

今日も変わらず静かに開いている。



「月が見てる」



そう口にして、カーテンをくぐった誰かが、

心の重さを少しだけ軽くして、夜道を帰っていく。



タロットも、水晶も、手相も、

本当はただのきっかけにすぎない。


本当に人を救うのは、

言葉の奥にある“まなざし”と、“耳”と、“手”だ。



月が照らすのは、夜の闇ではない。

その人の、心の奥にある

「まだ諦めたくない何か」だ。



そして今夜も、月先生の声が静かに響いている。


「心が迷子になったときは、

空を見上げてごらんなさい。

……月は、ちゃんと見てるから」





Fin...

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