第6話

 早足で、教室に帰った私は、午後の授業もまともに受けられずに帰りのSHRになってしまった。


「では、気をつけて帰ってください。さようなら」

『さようならー!』


 やっと学校、『一日目』が終わった。早く家帰って課題終わらせて、ゲームやろう。


 自転車置き場に急いで向かう。けれど、そこにたどり着くのは程遠かった。


「なぁ〜?言っただろ〜?」

「やっばー!」

「超ウケるんだけど〜!」

「俺達もやつも聞いてくれよな〜」

「何があったん〜?」


 The陽キャの先輩たちが目の前を歩いている。しかも大人数。だから、抜かせない。


「すみません、通して......いただきたいのですが......」


 勇気を出して声を掛ける。


「あれ?後輩ちゃんじゃん!」

「後輩ごときが何先輩を抜かそうとしてるの〜?」

「やめてあげなよ。可愛そ〜う」


 一人の男の先輩が、そう、言ってきて行く手を阻む。


「すみません。急いでて......」

「え〜俺達も急いでるんだけど〜」


 クソがぁ。陰キャの後輩をいじめて楽しいのかー!?

 早く課題終わらせてゲームしたいんだよ!どけよぉ!


「今井翔。お前って、後輩いじめて楽しいんだね」


 突然、冷たい声が後ろから聞こえた。うざかった男の先輩は黙り込み、女子たちは少しだけ、黄色い声を上げた。私はと言うと......なんか怖くて振り向かぬまま自転車が置いてあるところへと早足で向かった。


「は、晴翔。いや、これは、違う」

「違うって、どういうこと?」


 遠くから会話が聞こえる。助けてくれた彼は、一体誰なのだろうか。

 またいつか会えたら、お礼をしたい。


 家に帰った私は、課題を終わらせて、ゲームをした。

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