第7話 令和4年短答式刑法をとく その1

2時間で書き取りをやらされた。

誤字脱字をチェックしたうえで、また、数時間に及ぶ苦行がまっていた。


索引のつかいかたを覚えていく訓練ね。本来は英和辞典や国語辞典を使い潰した経験のある大学生がやることだけど、電子辞書世代だと辞書に書き込みというわけにもいかないから、ノートかルーズリーフノートにひいた条文をつけていってね。

中学生だからジャポニカ学習帳ということはないでしょう。

とりあえず、書き取り能力があることはわかったわ。男の子だと4000字を2時間で書けないひとはままいるから。明日再現できるかテストするね。


 ええ、明日も付き合うんですか。

 まだ春休み中でしょ。宿題とか部活とかあるなら別だけど。どうせ1学期がはじまるまでだらだらだらだらごろごろごろごろでしょ。塾とか予備校とかもいってないでしょうし。


次は短答式をときながら勉強していってみよう。資料つかってよくて何時間で得点をかせげるか。合格点がとれるまで、手抜きはだめよ。


それでは六法の刑法をひらいて、どの条文か、判例百選のどの判例か、基本書のどの部分かを書き込みしていきましょう。


※ここでは問題文まで。受験を考えるひとは自分でもやってみてくささいあ。

そうでないひとはよみとばしてください。


令和4年司法試験予備試験短答式 刑法・刑事訴訟法 問題文

[刑法]

〔第1問〕(配点:3)

信用及び業務に対する罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものを2個選びなさい。(解答欄は、[No.1]、[No.2]順不同)

1.人の業務に使用する電子計算機に対して不正な指令を入力した場合、その指令の内容が人の業務を妨害するおそれのあるものであれば、当該電子計算機の動作に影響を及ぼしていなくても、電子計算機損壊等業務妨害罪の既遂犯が成立し得る。

2.威力業務妨害罪における「威力」は、客観的にみて被害者の自由意思を制圧するに足りる勢力であればよく、現実に被害者が自由意思を制圧されたことを要しない。

3.偽計業務妨害罪における「偽計」とは、人を欺罔し、あるいは人の錯誤又は不知を利用することをいい、電話料金の支払を免れるための機器を電話回線に取り付けて課金装置の作動を不能にする行為は、これに該当しない。

4.信用毀損罪は、経済的な側面における人の社会的な評価を保護するものであり、同罪における「信用」には、人の支払能力又は支払意思に対する社会的な信頼だけでなく、販売される商品の品質に対する社会的な信頼も含まれる。

5.威力業務妨害罪における「威力」は、被害者の面前で行使される必要があるので、被害者が執務のために日頃使っている机の引き出しに猫の死骸をひそかに入れた場合、後に被害者がこれを発見するに至ったとしても、威力業務妨害罪は成立しない。


いわゆる六法といわれる紙の法律州と刑法総論と各論、判例百選の刑法ⅠとⅡを渡され、それぞれ根拠をしめして解答しろ、ということであった。


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