十代で弁護士になる!
@madi
第1話 母にいいまかされ実家に逃げた
※取扱上の注意
ドラマやライトノベルで時々10代弁護士がでてきたりします。物語の性質上チート能力を得るまでの苦難の過程は省略されがちです。「巨人の星」(ふる~)みたいな物語の9割がストーリーの谷という展開がはやらなくなっています。
実際はどうなのか。
青春群像と学習ノウハウ満載で勉強する人々とそれを指導する人々を含めまわりの人々を描いていきます。
科目によって大スケール・中スケール・小スケール、コメディ・悲劇さまざまです。
予備校及び法科大学院の営業妨害にならないように、最新判例・最新教科書にはふれるにしろ、不易な部分で歴史的に地理的にも大きく広く考えることを念頭においています。解答への道筋については大学・大学院・予備校で正確にやってください。
過去問を予備試験・司法試験とも令和7年まで扱います。解答及び受験ノウハウについてはオカモト弁護士の独断と偏見によるものであり、これを信じて本番で再現してえらい目にあったとしても本職は一切関知しません。
短答式試験についてはイクズブック感覚で、問題文を読み、といてみて、解答をみてください。案外勉強していなくても正解できます。
論文式試験については、書いてみて解答をみる、ということを念頭においてましたが、これでは上級者むきになるので短答がある程度巡回できたところで、こまかい導入をしていくやりかたをしてみたいと思っています。
装備としてはパソコン、六法、各科目の定評ある教科書、判例百選、ケースブックです。
司法試験は現在横書きなので、本小説も横書きで読むことを推奨します。
第1回 母にいいまかされ実家に逃げた
中学2年鬼頭二郎の予備試験挑戦
母と喧嘩になった。
自分が中学2年の4月始業式2日前の昼下がりのことだった。
忙しい父母にとっては、たまの休日で、高校教師の父は部活の面倒をみに学校へ出勤し、中学1年の妹はともだちのところへ遊びに行き、母も買物にいくと言って出かけていったので、家に残るのは自分一人だ。夕方までは自分の時間だと思ったのは早計だった。
「平日の昼間から居間でごろごろ~ごろごろ~と、若い男の子が何してんの。のび太のくせに生意気だと呼ばれるあの少年みたいなことになってんじゃない。」
午後2時ころ、母が帰ってきた。のび太について、文学的な言い回しをしなくてもわかるって。数学教師が文学的なことするんじゃねえよ。(最近流行のドラマだったら「うるせえ、ブス、鬼ばばあ」とか言って家をでていくんだろうなあ)(むかしむかしの少女マンガだとロボットの母と娘の喧嘩で娘が母親に更年期障害のヒステリーばばあ!というシーンがあったなあ。いま、なまみの人間にやったらまずいだろうなあ。ロボットで婦人科系の病気がないことが前提だから言えたあるいは描かれたシーンだろうしなあ。やはり『パタリロ!』は名作だなあ)
カスタード味のどらやきを口にほおばり、ロイヤルミルクティーでながしこみ、床暖房の居間のうえでごろごろし、積んであったライトノベルを読む、という休日の至福の時が破られた。12畳くらいのひろさのリビングはごろ寝には最適だ。気取りっこの妹ならキューカンバーサンドウィッチとこい紅茶でイングリッシュティーパーティーとしゃれこむ午後だが、あいにく自分はむさくるしい中学生男子であった。お優雅とはほど遠いなさけない状態であった。
出かけた先でいやなことでもあったのだろうか。母は朝とは明らかに機嫌が違い、額に青筋がたっていた。D I Eとかよめそうな筋だ。え、DIEだと?
僕は鬼頭二郎13歳。二郎だけど鬼頭家の長男だ。8月1日に14歳になる私立中高一貫校の2年だ。IQは150以上なうえ、頭の回転がふつうのひとの3倍くらいあるらしく、平行していろんなことを考えている。口に出すことはその場その場なので十分用意したプレゼンテーション以外は一般のひとにはわかりにくいらしい。
まわりには中二病真っ盛りと言われるが自分ではよくわからない。
中肉中背で成績が学年100人のなかでもうえのほうだが数学オリンピックや化学や物理のオリンピックを狙えるようなレベルではない。まわりには自分よりすごい人間がうようよいるように見える。
マンガやライトノベルは読むけど、古典とか漢文とか、翻訳ものとか、難しい本を読むのは苦手だ。国語系はそれほどいい成績ではない。日常生活にさしつかえはないが、ぜんそくがあるので体力勝負の格闘技はしんどいし、短距離でもしんどいが長距離はだめだめだ。近眼だし乱視もあるので弓道とか射撃系も苦手だ。
母、鬼頭すみれ44歳。12月10日に45歳になる。公立高校の数学の教師をしている。父鬼頭主税(ちから)とは高校からの同学年で高校大学が同窓の恋愛結婚らしい。小柄でかわいらしい外見でアニメ声だが、ヒステリーばばあのうえに語彙が豊富で正論でせめてくるので鬱陶しい。自分は、日記に何度も書いたせいで鬱陶しいも薔薇も漢字で書けるようになった。
うるせえなあ、鬱も薔薇も漢字で書けないくせに
と小声でいったのが聴こえたらしい。
履歴書もろくにかいたこともない、半人前のじゃがいものくそがきのあほんだらのくせになにをゆうとんじゃい。へのっとんじゃねえぞ。
怒りのあまり出身地の方言がでてきているらしい。
鬱も薔薇も嘉門達夫の憂鬱の鬱という字は♪という曲をききこんでたらかけるわ。履歴書の賞罰欄には漢字検定はかけるけど漢字検定もろくにうけとらんキモオタ男子のぽんすけが。
きょうは顧問をしているバレー部がぶざまな負け方をしたらしく、猛烈に機嫌がわるいうえ、自分の悪口損権罵詈讒謗(あっこうぞうごんばりざんぼう)に自分で酔うような状態になっている。人を殴っているうちによりハイになって暴行がエスカレートしていく塩梅(あんばい)だ。
お前は小児ぜんそくが幼稚園のころからあって心配されていたこと、おじいちゃんもおばあちゃんもおとうさんもわたしも心配していたこと、鬼頭家の代代伝統の身体訓練もさぼりがちで本家に顔向けができなかったこと、IQが150あることが小学校の入学のときの知能テストでわかったこと、そのためまわりとはなしがあわずいじめられたり、なかまはずれにされたり、こづかれたり、なぐられたり、けられたらい、つばをかけられたり、小便ひっかけられたり、人前でズボンを脱がされたり、パンツを脱がされたり、上履きを隠されたり、鉛筆でつつかれたり、消しゴムを隠されたり、誕生パーティーに呼ばれなかったりしないか心配だったこと、それは、わたしがいじめっ子としてやったことがはねかえってくるのか心配しているのではないかと勘繰られるのは心外(しんがい)であること、それはこの際あまり関係ないこと、みなが勤勉にやっているときの、みるからにごろごろされるとやはり秦があつこと、読んでいるラノベをちょっとみせなさい、あ、新井輝先生の「ROOM No.1301」シリーズじゃないの。「なかよし」や「ちゃお」系統の小学生女子が好みそうな顔の半分が目になっていて頭蓋骨の構造がどうなっているのかわからないかわいらしい絵柄だけど、だまされませんよ。かわいい絵で中身はえぐいし性的に放縦(ほうじゅう)で童貞が読んだらものすごく悪い影響を受けるし、処女が読んでもまずい本じゃないの、1日に5回も6回もセックスできてあたりまえとか、近親性交があたりまえとか、同性愛や痴女の存在があたりまえとか思ってしまうようになるじゃないの、
ずいぶんよみこんでいるんだなあ、とこころのなかでおもってしまう。中学生のころくらいに直撃されたのだろうか。
そんなものはフィクションなの。親はこどもに堅実であたりまえの生活ができ家庭をつくり孫の2,3人を観たいものなの、それをおまえときたら、せっかくの中高一貫の名門校にはいっておきながら部活動にもはいっていない、ほかのインタースクールタイプの活動もしていない、せっかく上下横に中流階級以上の子息の広いつながりできるかと期待していたのにクラスメイトの数名と幼稚園からお前を可愛がっている龍の口家の双子くらいしか遊んでいない、こどもの交遊関係に口出しをするのは最低の親だから思っているし、教師としても保護者にそういっているから、口には出さないけど。
いや、いま口に出してますやん。どうしてツッコミのときは関西人でなくても関西弁になってしまうのだろう。
母親は心配するのが商売なんだからなにがなくても心配する、不良との交友がないことはいいことだがそれでも心配する、心配するにしても、もう少しレベルの高い心配をさせとくれ、すこしは高い目標を掲げたり、ちゃんとトレーニングや勉強をしたりしていいところをみせてみたらどうなのよ。本家にばかにされっぱなしじゃないの。嫁としてつらいわ。
いや、嫁といったって、本家にいくのは何年に1度だし、そもそも嫁は他人じゃないのか。
1301だと芸術の才能や実業の才能やスポーツの才能がでてきたのを思い出した
おかあさん、あんなエロなラノベ熟読しとるやないか~い
なお自分はあの主人公のように絶倫ではないと思う。
音楽美術書道に関しては、まあ、あきらめはついているわ、うちの子だもの、ギターとかのロックなら色気づいて高校からはじめてもいいかもしれないけど絶対音感はないし、作文とかはなんの賞もとってない、成瀬あかりだと栴檀(せんだん)は双葉よりも芳し、で小学校低学年のころから表彰状をかせいでいたし
あれ、「成瀬は天下を取りに行く」はフィクションだし、そもそも鬼頭家は目立ってはいけないという家訓があったからコンクールとか控えめにしていたやん
スポーツだって中肉中背だから野球や相撲やプロレスはだめで、ボクサーとしてはぜんそくがあるし、水泳でも身体が小さいのはハンデになるわ。ギャンブルレーサーの競艇と騎手とオートバイレーサーは小さいほうがいいけど、そこまで小さくはないわね。
進路指導でだめだしをするいやみをはじめやがった。生徒相手でここまでやったらハラスメントだろう。
学業でも中1としてはまあまあだったけど、社会にでて通用するものはまだにわね。囲碁や将棋も才能なかったし。
あ、1301だと司法試験をめざす秀才があったかな。
あのような家事と勉強ができて彼女をおもいやる子になってほしかったのに、なんで家族の気持ちもかんがえないで、ごろごろ平気でできて、母親がつらい気持ちでいるときにさかなでするような口答えを平気でできるようなデジデマヌケどすかたんになってしまったのやら。さめざめと泣いてしまうわ。さめざめ
自分でさめざめいうか。もろにウソ泣きやん。あ、落語「お茶汲み」のせいか紅茶をちょっと指にひたして目じりから涙をながしたようにしている。
女の涙の威力を知り尽くしているぞ。
それとこんな悪書は没収します。
え?
なんて理不尽な。学校の先輩から代々うけついできた秘密の学級文庫の本なのに。そんなことしたら弁償しなければならなくなる。小遣いは月4500円なのに。何千円も消えてすない。理不尽すぎる。法的におかしくないのか。
嘘泣きにしてももう少しまじめにやってほしい
法的に問題がある?だったら、どこのどんな法律でどういう問題があるかいってごらんなさいよ。なにもできないのになんでもできるつもりになっている中二病のすかぽんたんなくせに。衣食住全部親がかりでヤングケアラーでさえないのに。まったく、本家にあわす顔がないわ。法の支配は鬼頭家の妻には及ばないの。英国女王は君臨すれでも支配せずず、だけど、鬼頭家の妻は君臨して支配するの。いうこときいて片づけるか、ちゃんとするかしなさい。このぼけなすが。
ちくそー、法の支配ってなんだかわからんが法の支配があれば、ここまで言われんでしゅむんだな。法の支配なら弁護士にいってとりかえしてもらえばいい。
ばかめ、太郎おじさんがこんな家庭内のことで関心はらうわけないでしょ。
まあ、文句をいうなら一人前になってからいえばいいのよ。医者か弁護士か軍人ね。まあ、医者も軍人も体力的にしんどいか。なれるとしたら弁護士だけど、それもだいぶだいぶ先ね。妹に先を越されるかもしれないわ。
ひどい、ひどすぎる。こどもに安心安全な家庭を提供すべきなんじゃないのか。保護者には言うけど自分はどうでもいいのか。
そんなにゆうなら司法試験にとおって10代で弁護士になって自立してやるよ。
俺は実家に帰らせてもらう。
そういって自分は800mはなれた龍の口家へ走っていった。
そういや鬼頭家は代々なにをしなければならないんだ?
次回 おばさんに愚痴をきいてもらったらえらいことになった
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