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8月の初めに新居? が完成して、私達のお店も内装工事に入っていた。広さも充分で、待合と休憩室なんかも広くて、松原と砂浜が見渡せて、従業員の控え室なんかも備えられていたのだ。それに、今後のためにと2階までのホームエレベーターまで設置してくれたのだ。階段も大きく宮殿に向かうような感じで・・・女の人をワクワクさせるような装飾なのだ。そして、私達も研修を終えて、彼の会社のマンションに越して、開店の準備に掛かっていた。
彼は、独りで新居に住み始めていて、お盆の時に、この辺りの花火大会があって、屋上から丸見えなんだよって、誘われたのだ。
小さなテーブルを用意してくれていて、その上にはお寿司を並べて、焼鳥なんかもコンロで炙るようにもしてくれていた。こういうとこの心遣いには感心するのだ。さっきから、ビールなんかも飲んでいて、私もリッチだわーぁーと、ほろ酔い気分だった。
「タテ 素晴らしいお店 建ててくれてありがとう 嬉しいの いつも私のこと思ってくれて 今日のことだって おいしいわー こんなの初めて 花火見ながらなんて―」
「だろう そ~言ってもらえると、やりがいあったよ」
「タテ あのね 私をお嫁さんにしてください」
「えっ 今 なんてー」
「私 タテのお嫁さんになりたい」
「そうかー そうか やっと 決心してくれたんかー いや 嬉しいよー めでたいなぁー」
「ふふっ」
「じゃぁ 今夜は 思いっ切り可愛がってやるよ」
「やぁーよー 激しいの あのね あの時にー恥ずかし過ぎるの 嫌なのよー」
「そんなこと言って 応えてくれるヤン」
「だってさー 無理やりなんだものー」
「それはー 真美のことが可愛いんだからー どうしようもないんだよ ふたりだけの間なんだから いいだろう?」
「ウ~ん もぉー 私 変態なんじゃぁないのかって 思ってしまうのよー あんな 恥ずかしいことしてるっての って 誰にも言えないしー」
「いいんだよー 愛し合ってればしてるさー 真美は俺のことだけを愛してくれてりゃ― そーだな お盆が明けたら、早速 親父に言って 秋に結納して、挙式は来春かな」
「あのね お店も9月には開店したいわ だから、半年ぐらいは お店に専念したいの 結婚はその後で・・・」
「わかったよ 店が落ち着いたらな」
8月の終わりに、両親に紹介するからと、彼の実家に行くことになって、市街地から少し離れたところて、農家風の建物で、家の前は立派な和風庭園があった。私は、気を使って清楚なものをと、白地にクローバがプリントされたワンピースを選んでいた。
「いらっしゃい うん やさしそーなきれいなお嬢さんだね」タテさんより小柄なんだけど、腰の低くそうな人で、会社の元 社長さんとは思えなかった。
「初めまして タテ・・・タテヨさんとは仲良くさせてもらっています 立花真美です」
「タテヨからも聞いているよ ぞっこん惚れているんだってな こいつが最近 社長としてもしっかりしてきたのも真美さんのお陰じゃぁないかと、思っているんじゃー 今日は ゆっくりしてって下さい あぁー 気楽にな たいしたもん無いが昼飯でも喰いながらな」
小アジに、甘えび、畑で採れたというナスにしし唐、小芋の天ぷらに鯖と小鯛の押しずしが並んでいて、私はお腹がいっぱいだったのだけど、最後に辛み大根のおそばにたっぷりの花かつおの乗ったもの。
「真美さんは 双子のご姉妹と美容院をなさるんでしょ? お客商売は大変やねー」と、お母さんが話しを続けてくれて
「はい! 二人の夢だったんです お店を開くの出来たのは タテヨさんのお陰なんです」
「そう この子は 真美さんの夢は俺の夢なんだって 張り切っていたのよー」
「そーなんですか 感謝しています」
「この子は我儘で自分勝手なとこあるから 遠慮しないで押さえつけておいてくださいね お店の経営も大変でしょうけど、真美さんは立石家の嫁になるんですから、孫のことも考えてね! 娘にも孫が居ても、嫁に行ってしまったから、立石の孫じゃぁ無いし・・・なんだかねー」
「ばぁさん 今から そんなことを・・・まぁ 立石の孫となると嬉しいがなぁー」
とにかく、歓迎はされていたみたいなので、私は ほっとしていたのだ。そして、秋の良い日を選んで、結納を、そして、結婚式の段取りも決まっていたのだ。それよりも前に私にはお店の開店のこともあって慌ただしかったのだ。
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