戦闘機が死んだ日。2025/6/1、歴史をここに記す。
底道つかさ
心境の整理としてこの日を記す
概要:
2025年6月1日。
ロシア全土における、複数の空軍基地において、ウクライナによる小型ドローンを用いた同時奇襲攻撃作戦が実行された。
そのほとんどは成功。
爆撃機、電子戦機、戦闘機、攻撃機、空中管制機、とにかくありとあらゆる高脅威空中戦力兵器が、合計40~50機ていどの損害を受けた。
方法:
ウクライナ側は長期間の準備によって、大量の攻撃用ドローンをロシア国内へ搬入していた。
それらは木造コンテナの内部へ格納された。
作戦開始前、ドローンが格納されたコンテナは、ロシアの通常の運搬サービスによって空軍基地近辺へと輸送、配置された。
場所はただの高速道路のインターチェンジのようなところがほとんどである。
作戦開始と同時に、コンテナから数十機の自爆型ドローンが発進。航空基地内に露天駐機されていた軍用航空機たちへ攻撃を開始。
ものの数分で大量の軍用機が大破、炎上した。
この攻撃は非常に精度が高く、標的となった航空機は、弱点である主翼付け根や燃料槽へ被弾し、大破した模様。
これらのコントロールはウクライナ側のオペレーターによって行われた。
しかし、衛星回線を含む操縦回線は、ロシア側の物を乗っ取って使用した模様である。
オペレーターたちは作戦地点から遥か離れた地点にいたようだ。ウクライナ側の公表では、全員がその日のうちにウクライナ領へ撤退完了したとのこと。
ドローンの発進「母艦」となったコンテナ、あるいはトレーラーは、ドローンの全機発進完了と同時に自爆。
このような攻撃が、最大で東西約4600キロメートルに渡る超長大な範囲で、複数の空軍基地の、複数の目標に対して同時に実行された。
SNS上における情報の露出:
この作戦の模様は、民間を問わず、その場に在ったありとあらゆるカメラによってとらえられ、直ちに世界中へとソーシャルメディアを通じて拡散された。
その中には、攻撃に使われたFPVドローンから撮影した、目標を選定し、攻撃箇所へ回り込み、突入自爆した「瞬間」までの映像も含まれている。
爆撃機の僅か1メートルまで接近し、念入りに目標を観察し、ゆっくりと「突撃自爆」するさまがありありと映し出されていた。
その近さたるや、目標表面の傷や汚れまで確認できるほどである。
戦闘機が死んだ日:私信:
上記の戦果は、本来であれば巡航ミサイル数百発、無人攻撃機数千機による最大規模の空襲によって、数機の戦略爆撃機を一時的に運用不能にする程度の損害を与えられるか否かというものである。
しかし、実際に使われたのは、数こそ多いと言え、市販品の四枚翼ドローンだ。
そして、それは作戦開始のその瞬間まで、普通のコンテナに隠匿されており、敵国深部まで持ち込んだのはほかならぬ敵国の物流網である。
結果として、40~50機の戦略爆撃機や、貴重な電子戦機までが、完膚なきまでに破壊された。
これは、明らかに人類史の軍事における歴史的転換点である。
無論、従来の軍用機の役目が突如失われたわけではないが、このように安価で探知しにくい方法で攻撃を受けるようでは、もはや迂闊にハンガーから出すこともできない。
今回の目標は、高脅威である戦略爆撃機や電子戦機が主であったが、もし目標が戦闘機、攻撃機であれば、一機当たりの破壊に必要なドローンの数が減るのでより大きな被害が生じるのは明らかである。
基地の設備が狙われても同様であろう。変電施設や管制塔、レーダーを狙われればひとたまりもない。
つまり、爆撃機たちと同様にして、「安全が保障された家」を失ったわけである。
この状態では、戦線の近傍の基地へ航空兵力を集中させることは、危険すぎて不可能だ。
無論、何千キロも後方の基地から空中給油を繰り返しせば、以前同様に運用は可能であろう。
だが、その空中給油機や、任務を終えた機体は何処に降りれば安全を保障されるというのか。
いつかのように、弾道ミサイルでも使った方が全く簡単である。
人類が飛行という夢をかなえて120年と少し。
戦闘機という存在が生まれて100年とちょっと。
その操縦にもう人が不要となるはずであたのが10年後程度の話だった。
そのはずは、今日に崩れた。
戦闘機という存在そのものが、無人とか有人とかという話の前に、運用におけるリスクとリターンという、ときに機能そのものよりも優先される軍用機動兵器としての役割を――――
喪失とまではいかないが、まあ、従来持っていたほとんど全部の価値を失った。
戦闘機は、死んだのである。
良いことだ!
サンテグジュペリが綴った、夫を空で失い泣きくれる未亡人が現れることは、しばらくの時間をかけていなくなることだろう。
戦艦という兵機種がいなくなっても船自体がなくなっていないように、戦闘機という存在はただの歴史書の文字に置き換わり、飛行機はこれからも空を飛ぶ。
ただ、この歴史的瞬間を目の当たりにした衝撃とは別の、言い知れぬ、というか、人倫に憚るような気がして口に出来ない意気消沈はなんであろうか。
ああ、もう夜が明ける。
世界は変わったが、自分は今日も今日とて病院行きだ。
何かが起きてしまったら、ただ歴史にひき潰されるだけのもんだ。
なんとも
心持がない
夜明けだった
追伸:
深夜5時です。
衝撃的なニュースに目がくらんで、狂奔したことを書いているとは一応思っています。
今後、色々と修正するか、消すことになるでしょう。
戦闘機が死んだ日。2025/6/1、歴史をここに記す。 底道つかさ @jack1415
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます