うちの姉母婆はあくまであくどい〜悪魔さんを召喚して家族になってもらったら〜
益荒男 正
召喚:母
第1話 はじめての召喚
「えぇーーーっ?! ホントに悪魔さん来ちゃったぁ!」
「ようやく見つけましたわ、運命のご主人様♡ この度はご召喚に預かりまして幸甚の極みにございます♡」
満月の夜、悪魔召喚の儀式。
現れたのは身長180cmはある女の悪魔。
彼女のつま先は宙に浮き、大きな翼で羽ばたく。
黒鞭のようなツヤのある尻尾をヒラヒラさせる。
禍々しい角と腰まで届く緋色の長髪。
真紅の瞳が闇夜に輝いていた。
あと服装が穴空き水着みたいに露出が多く、
ボインボインが丸見えで目のやり場に困った。
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町の片隅でゴミを漁って生きてきた。
路上で1人寂しく凍える日々。
誰かに助けてほしかった。
でも周りの人間はみんな見て見ぬふりをする。
だからムシャクシャしてヤッてやった。
路地裏に落ちてたエロ漫画の真似、悪魔召喚。
人間がダメなら悪魔を頼ればいいじゃない。
魔法陣を描いて呪文を唱えて、
『悪魔さんおいでませ〜』なんてやってみた。
もちろんほんの冗談、暇潰し。
そしたら魔法陣にズドンと雷が落ちてきて……
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「で、ワタクシが現れたと」
「そゆこと〜びっくりしたんだから」
「それは失礼をば。ワタクシ、畏まり謝罪いたします。フカブカオジギ~」
「別にいいよ。で、お姉さんはどんな悪魔さんなの?」
「コホン、改めまして。ワタクシは『スプリングス=サディ=ハルナバル』と申します。以後お見知り置きを」
「僕は阿久戸季人だよ。よろしくね」
「『リヒト』、なんと甘美な響きでしょう♡ 季人様、あぁ季人様〜♡」
「本物の悪魔さんなの? えっちぃコスプレヤーさんじゃなくて?」
「ムムッ、失敬な。正真正銘あくまで悪魔ですとも。立派な角が生えてますし、翼も羽ばたいてますし、尻尾もフワリフワリと動いていますでしょう?」
「作り物には見えないね。やっぱり本物? でもそれだけじゃなぁ」
「だったら魔法をごらんになります? 男の子はそういうのがお好きでしょ?」
「魔法?! 見たい見た〜い!」
「素直でよろしい♡ それではワタクシにしっかりつかまってくださいな」
「こう?」
「そうそう、腰をしっかり引き寄せて♡ 早速お空に参りましょう、それっ!」
「びっえぇぇぇーーーっ?!」
翼を広げロケットのごとく飛び上がった。
あっという間に町が小さく見えるくらい上空へ。
「もうこんな高くまで来ましたよ〜人間どもが蟻ん子より小さい、滑稽ですね〜」
「ぎゃあぁぁぁーーーっ! 高いよぉ怖いよぉ! 下ろしてぇ!」
「あらら、パニックになってらっしゃる。落ちついてくださいな、よしよし、よしよし♡」
「あふゅう……頭なでなでキモチイイ……」
「赤ちゃんみたいでいいですね〜♡ ワタクシにつかまってれば大丈夫ですからね」
「で、こんな高いところで何するの?」
「魔法でこの町を消して差し上げましょう。悪魔の妙技、とくとごらんあれ」
「え、なんて?」
「
スプリングスが空に手を掲げる。
満月が見えるほど天気だった夜空は、
どんどん暗雲立ち込めて真っ暗になる。
ゴロゴロ雷が鳴り、紫の稲妻が2人の頭上で光る。
「我らが主従の門出なるぞ、その
【
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