天才は全てを解決する

清水秋穂

第1話 悩みなど存在しない、そう天才ならね!

 天才、それは一般人の常識が通用しない逸般人のこと。


 特定の分野で1位を総なめする、あるいは全方向に完璧なスーパーマンもいる。


 ここは◯✕県にある県内最高峰の進学校。ここにも1人、天才に出会い、そして挑み続ける者がいた。



 突然だが、読者諸君!

 天才という存在に出会ったことがあるかい?

 

 えっ?現実にそんなのいないって?

 ……フッ、ハハハハハなんてナンセンスなことを言うのだ!

 君たちの目が節穴だから見えていないだけだ。天才は確かに存在する。いや、むしろとても身近な場所に……!


 そして今、君たちの目の前に!

 そう、私こそ真の天才!神に愛されし者!

 人々は私に会ったが最後、これまでに積み上げたちっぽけなプライドは粉々に消え去り、私の才能を崇め続けるモブに成り下がるのだ!


 ハハハハハ、ハハハハハ、ハハハハハハハ……


「1人で何笑ってるんだよ?」

「なんだい?友人Aくん?」

「中2丸出しだな。いい加減その呼び方やめろ、友達いなくなるぞ」


 この世の真理について考えていたら邪魔されてしまった。空気の読めない友人Aを私は睨む。


「天才とは孤高なもの。私に友達がいないのもある種の宿命と言える」

「もう高1なんだからいい加減卒業しろ。この学校きたの俺等だけなんだから高校デビューにうってつけだしな」

「卒業とは何だ卒業とは。私が卒業できていないのではなく人類が卒業できていないのだ!」

「もう自分でも何言ってるかわかってないだろ!」


周りの目を気にするなんて、いかにも凡人らしい発想だ。だがまあ、私の「友人」である以上彼は人生の勝者だが。ありがたく思え、永遠に。


「まぁでもお前もある意味天才と言えるかもな。なんせ県内最高峰のこの高校で次席取っちゃったんだし」

「嫌味か?私は今ちょうどそのことで悩んでいるのだ。入試の日に熱を出してしまったとはいえ、私が2番目なんだぞ、2番目!こんな屈辱は初めてだ」

「今回はしょうがなかったって。首席だってあの天才と名高い才田知怜なんだからな。同じ年に生まれたことを呪うしかないよ」


 そう、私はいまとても悩んでいる。


 私の人生は完璧だった。いついかなる時も負けるなんてありえなかった。

 なのに!ぽっと出の「天才」くんに負けるだと?


 ふっこれはもう身の程をわからせてやるしかないな。

 まったく、私をここまで悩ませたのはこの男が初めてだ。おもしれえ男じゃねえか!

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