第4話 俺に何か言いたいのか?
こっちがコンコンと警告を与えないからネズミも大胆になったのか?構わない、俺は眠ろうとする。
カリカリ!カリカリ!と、さらに力強い音になった。
いよいよ大胆になりやがったが、俺は務めて気にしないようにした。
カリカリ!!カリカリ!!俺に訴えているようにさえ聞こえる。
それでも、俺は無視して、閉じている目をさらに力を入れて閉じる。
すると、無視する俺に愛想を尽かしたように、パタンと音は収まった。
静寂を喜ぶよりカリカリの音やリズムが消えたことが気になり、反射で目を開けてしまった。
暗い部屋に浮かぶクローゼットの扉が目の前に有るのみだが、その時、背後から、ゆっくりとカ〜リカ〜リという音が部屋中に響いた。天井裏からではない、この部屋の壁をひっかく音だ。
俺の背筋深くに、恐怖を伴う冷たいものが駆けた。横になったまま、ゆっくりと身体をよじって窓際を振り返る。
闇よりもさらに暗いことで浮かび上がる、真っ黒な人影が、窓の前に立っていた。俺の全身を、冷たいものが何往復もする。頭は真っ白になった。さらに、声も出ないし身体も動かないことを知った。
人影はじっと立ったままその場を動かず、壁に手を伸ばしていて、なおもカ〜リカ〜リとひっかいている。
恐怖をやり過ごすべく寝るしかないと思って、目を閉じた。
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