母は戦わずして、戦を制した
- ★★★ Excellent!!!
天下人・豊臣秀吉が逝き、五大老・前田利家もその後を追った慶長四年。
残された者たちは、血を流すか、頭を垂れるか、決断を迫られる。
動乱の渦中に立たされたのは、若き前田利長。
父の威光なき今、徳川家康からの謀反の疑い。
冤罪。屈辱。
激情に駆られる彼は、戦によって潔白を証明しようとする。
だが、そんな彼の前に現れたのは――
秀吉の正室・ねねの親友にして、戦国を知る女。
そして、「戦わずして治める」叡智を宿す、美しき母・芳春院(まつ)だった。
息子の怒りを受け止めながら、まつは問う。
「勝ったその先に、何がある?」
そして静かに、時代を読む。
豊臣の体制が崩れゆく中、誰が新たな秩序を築くのか。
戦ではなく、理によって未来を拓く者は誰か。
これは、槍も刀も交えぬまま、
たった一人の女が、家を、時代を、そして未来を守った物語。