第28話 司式者

 俺は今、荘厳な聖堂の中心に立っている。

 

 皆の視線が、俺に集まっている。

 俺を支えてくれ、時には対立したけど今はいろいろうまくやっている、マジック・ローダーの面々。

 俺たちの結婚を——複雑な思いで——なんとか認めてくれた母親に、ばあさん。


 扉が開いた。

 マジック・ローダーの最高齢、マージ・パルカンと手を携えて、花嫁が入ってくる。

 皆の視線は、花嫁に奪われた。


 花嫁はゆっくりと、赤い道を通って、俺の前にやってきた。


 司式者が言う。

「お二人は、永遠の愛を誓いますか?」


 ——俺たちは、神の前で、愛を誓った。


 ほんとだって。


 ほんとに神の前で愛を誓ったんだって。


 え? その言い方だと本当は愛を誓ってないんじゃないかって?


 そっちじゃねぇよ。


 ほんとに「神」の前で愛を誓ったんだって。

 正確には、女神か。


―――――†―――――


「あとは、司式してくれる人ね」

「なあ、カルザーナたちが(気兼ねなく言えるってサイコー)挙げたときは誰だっけ」

「ええと、確か……ん?」


「それは……私にお願いできますか?」


「あ……」

 

 現れたのは、美しい髪の毛をもった、エグゼルアの≪女神≫だった。


「あなたたちのおかげで、エグゼルアは救われたのです。女神として、最大限のお礼をさせてください」


―――――†―――――


「はい、誓います」


「カギン・ダティモス、サーイ・ライガ。エグゼルアの女神が、2人を夫婦にすることを……ここに宣言します。さあ、……誓いのキスを」


 俺はベールをとる。紗愛は俺をまっすぐに見つめて、微笑んだ。

 愛おしくて、何度もキスしたかったけど、1回だけにとどめた。


 万雷の拍手。紗愛は参列者に向かって礼をした。


 俺はふと司式者のほうに顔を向けると、

 司式者はなぜか顔をそむけた。

 そこに、何か光るものが見えた。

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