衣服
衣服は中世西洋と古代ローマと現代知識を混ぜ合わせたようになってます。理由は歴史的な背景がありますね。この辺りは主に『王子の私の~』で背景が語られます。
まず、ハイランドとスワルタリアという土地が『かみさまなんてことを』の舞台となっていて、この土地は地母神の統べる土地でした。地母神が古い森を侵略して農地を広げ、人が棲める場所を切り開いたわけです。農耕神というのは森を切り開きますから、森の住人からみると侵略者的な意味合いがあります。結果、アニミズムと地母神信仰が融合したような土地になりました。
そのスワルタリアへ攻めてきたのが南部の帝国です。こちらはスワルタリアよりも遥かに文明が進んでいて、古代ローマがイメージソースです。おそらく、最初はスワルタリアからの防衛のために拠点を伸ばしていっただけで、結果としてスワルタリアを属州としたのだと思います。スワルタリアは帝国からすると、古代ローマから見たガリアみたいなイメージかもしれません。
スワルタリアがガリアとすると、東部のローランドはゲルマンです。ローランドにはたくさんの国があったようですが、魔王によって滅ぼされ、滅びた国々の技術が集まってできたのがタルサリアです。タルサリアは女蛮(アマゾーン)と呼ばれるくらい背の高い女戦士が多く、しかも魔族との戦いで戦慣れした国でした。
最終的にゲルマン民族の大移動ならぬ、魔王軍の侵攻で帝国は滅びてしまいます。タルサリア自体も、ハンノキのエルフの影響で徐々にではありますが人の住める土地ではなくなっていき、滅びます。残ったのがハイランドと、属州から帝国化を経てハイランドの支配下にはいったスワルタリアというわけです。
帝国は広大な土地を平和に治めたため、文化的に文明が進歩しました。平和で文化的になると、人々はより良い暮らしと長寿を求めるようになるわけです。帝国では大浴場が作られ、服と共に下着も洒落ていきます。ハイランドやスワルタリアの戦士は裸で戦ったりした部族も居たくらいですから、帝国によってもたらされた文明は魅力的だったことでしょう。
タルサリアは魔族との戦いで滅びに瀕していましたから、清浄や、平和で文化的な暮らしとは無縁になっていき、ハイランドと違って地母神の加護もないため出生率の低下が大きな問題となっていました。その辺の背景から『王子の私の~』の物語が始まります。
その後2600年かけて、ハイランドとスワルタリア属州、タルサリアの文化が長い年月をかけて融合し、さらにいつの時代からか異世界人が召喚されるようになったため、現代の知識まで取り入れられてできたのが『かみさまなんてことを』の王国の文化となります。
下着
ハイランドの聖女みたいに、戦化粧で真っ裸にウォードでペイントする人もかつては居ましたが、帝国の文化が浸透していって無くなったと思います。女戦士の居たタルサリアやハイランド、スワルタリアでは胸当て(ブラ)的なものはありました。下穿きは『死鎧の騎士』でドワーフの姫が腰巻みたいなの穿いてましたので、そういうのもあると思いますが、基本は男女ともブレーと呼ばれる半ズボン状の下穿きが多いと思います。女性の場合はブレーの裾を絞ってる感じだと思います。
〇戦化粧の聖女(『王子の私の~』 第41話/ 第42話)
https://kakuyomu.jp/works/16818093085375502102/episodes/16818093086522773853
下着のトップスはシュミーズ(シャツ)になりますが、例えば汗をかいたり汚れやすい職業の場合、シュミーズにブレーのままで作業をしていたりします。生地はリネン(亜麻)が多いです。
スブリガークルム(下穿き)
かつては帝国の下穿きの総称でしたが、主にタルサリアの王子のせいで紐パンビキニを意味するようになってしまいました。『死鎧の騎士』の時代には、演劇の中でタルサリアの女を表現するのに紐パンのスブリガークルムが使用されています。ついでにいうと、タルサリアの文化を引き継いだ同時代の修道院では、男も女もスブリガークルムでした。
〇美しかろう――と、あの人が言ったから(『王子の私の~』 第56話)
https://kakuyomu.jp/works/16818093085375502102/episodes/16818093088127437925
〇主人公の下穿き、投石紐と間違えられる(『死鎧の騎士』 第19話)
https://kakuyomu.jp/works/16818093088653827442/episodes/16818093089924730893
ストローピウム(胸当て)
帝国式の胸当て(下着)の総称です。コルセットから派生したものと、布を巻いただけのものから派生したものがありますが、『かみさまなんてことを』の時代にはモスリンの布を巻いたりしているので、文化的なものが少し後退しているかもしれません。激しい運動をしない人なら着けてない人も多いと思います。
ショース(長靴下)
『独り身のまま死んだ私を~』の時代に既に長靴下を人前で脱ぐなと言われているので、おそらくもっと古い時代からの風習だと思います。靴自体、人前で脱ぐのは恥ずかしいと言われているくらいでした。タルサリアの王子周りが変わった服のフェチを生み出してますので、その辺の発祥ではないでしょうか。
割と緩い時代もあるようなのですが、『かみさまなんてことを』の時代に明らかに性的な意味に捉えられ始めたのは『堕ちた聖女は甦る』のラヴィーリアが原因だと思われます。
民に愛されたラヴィーリア王が、初夜まで長靴下を男の前で脱がなかったという逸話が歪んで伝わったようで、初夜で伴侶に長靴下を脱がしてもらうと幸せになれるという話です。ただ、ラヴィーリア王、7年で暗殺されてますし、公では寝取ったダルエルが夫なのですが、どこかで誰かが真実を漏らしたとしか思えませんね。
〇ラヴィーリアの初夜の話(『堕ちた聖女は甦る』 第35話)
https://kakuyomu.jp/works/16817330658060844181/episodes/16817330659723584872
〇初めて長靴下を脱がせて貰う(『かみさまなんてことを』 第13話)
https://kakuyomu.jp/works/16818093077869002215/episodes/16818093081478535281
上着
シュミーズの上からワンピース状の上着(コット/ コート)や長衣(ローブ)を着ます。男性用は丈が短く、女性用は長くなります。帝国ではトガと呼ばれる一枚布を巻いてましたが、こちらは一般的ではありません。
上着は鎧の発達の影響を受けています。鎧下(ダブレット)は衝撃を吸収するキルトの上着でしたが、こちらが上着(ドゥブレ/ ダブレット)に変化したり、鎧の上に着る所属を表すためのお仕着せ(サーコート)が衣服に変化したりしています。
セパレートとしてのボトムスは、男性の場合は膝丈かブーツカットのブレー、古い衣装としてのチュニック&トラウザー(長ズボン)ですね。スカートは上着が基本ワンピースなのでセパレートとして存在するのは、むしろ鎧に合わせる場合かもしれません。鎧にスカートというと、『死鎧の騎士』のデリータ・アンネラクレールですね。
〇スカートを防御に使う女(『死鎧の騎士』 第63話)
https://kakuyomu.jp/works/16818093088653827442/episodes/16818093091621141459
スカートの長さは身体を動かす必要のない地位の女性ほど長いのが特徴です。短いスカートはそれだけ身体を動かす仕事に就いている証拠です。例外は『王子の私の~』のタルサリアの王子周辺で生じたフェティシズム溢れる衣装ですね。演劇なんかの風俗を通して、極めて丈の短いワンピースなんかが後の世まで伝わっていると思います。
このフェティシズム溢れる衣装が堕落だとして反対したのが『死鎧の騎士』の時代の修道会なのですが、彼ら自身がフェチと知らずに紐パン常用しているのが皮肉な部分です。
〇仕事によって違うスカートの長さの話(『かみさまなんてことを』 第3話)
https://kakuyomu.jp/works/16818093076215867328/episodes/16818093076231085399
外套
袖なしの外套はクロークで、作品中ではフードの付いた物が多いです。防寒に用いる場合は、毛皮で裏打ちします。さらに重装の防寒具、特に鎧の上から着る防寒具はグレイトコートと呼ばれています。『堕チタ勇者ハ甦ル』で突然襲ってきた冬に、行軍のため重防寒具をかき集めますがこれがグレイトコートですね。
〇重防寒具(『堕チタ勇者ハ甦ル』 第51話)
https://kakuyomu.jp/works/16817330664614959159/episodes/16817330667875331862
上っ張り(シュルコー/ サーコート)は上着の上から着る服で、男性女性共に着られます。
被り物
中世西洋的なイメージを出す場合、被り物は重要なのですが、作中では省略していることが多いです。カル(フード)とかカロ(キャップ)、シャブロン(垂れ頭巾)ですが、この辺は割とベタに中世西洋イメージがつくので何か新しいものを考えてみたいです。
履物
この世界では革製のブーツが基本です(酒と同じく作者の趣味です)。『かみさまなんてことを』のハルやアオの部屋での会話で出てきたとおり、屋内でも靴は脱ぎませんし、そもそも靴を脱ぐのが恥ずかしいこととされています。
〇靴を脱ぎたい日本人(『かみさまなんてことを』 第二部 第26話)
https://kakuyomu.jp/works/16818093078054131450/episodes/16818093083465023606
屋内履きという概念はあって、外にあまり出ない場合は装飾された布製の、くるぶしが見えるくらいの丈の低い靴を履くこともあります。女性の場合はスカートが長いため普通は見えませんが、くるぶしのチラリズムはあったと思います。
色のこととか古着のこととかも足していくと思います!
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