風呂あがり。孤高のクール系ギャルは、学校では誰にも見せない姿で俺と駄弁る。

きたみ詩亜

〜prologue〜 奈良野澄芳×坂木道晴=カノジョの素顔。

 シアーグレージュの髪。

 涼やかな目元に、赤いピアス。


 ──隣の席。

 ひとり、読書にふけるクール系ギャル、奈良野ならの澄芳すみか


 彼女の前に、イケメンなひとりの男子が現れる。


「奈良野さん、放課後、ふたりで遊びに行こうよ??」


「……放課後は忙しいから無理」


「……ハハッ、じゃあまた誘うよ!!」


 すげない彼女の答えに苛立ったのか、渋面を浮かべ、そそくさと立ち去る男子。


 ──ピロン。


 俺──坂木さかき道晴みちはるのスマホが、レインの着信を受けて光る。


『道晴くん、今晩もいつもの時間に、スーパーの前で待ち合わせねっ!』


『分かった、澄芳』


 隣の彼女からのレイン。

 怜悧な彼女が、俺にだけ見せる、ありのままの姿。


 ──なぜ、俺だけが彼女からそんな特権を得ているのか。


 その理由は……。

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