おかえりなさい!Reborn!

数金都夢(Hugo)Kirara3500

第1話

 わたしはその時までどう見てもアメリカの開拓時代に建てられたような木造の家や商店がポツポツ建っているさびれた村に住んでいた。そこは古い西部劇とかでみたような気がするような雰囲気だった。村の外は松の木がところどころ生えている果てしない草原が広がっていた。


 そんなひなびた村にある唯一の駅。レールはとっくに錆びついていた。村のシンボルでもあるカントリーエレベーターはかろうじてその威容を見せていたが、脇にある蒸気機関車を走らせるために建てられたと思われる給水塔は草に渦もれていた。駅舎の方はもう列車が何年も来ないので郷土資料館として使われている。わたしは今、その駅舎のホーム側のベンチに座ってぼーっと外を見つめていた。

「友梨香ちゃん、友梨香ちゃん」

その村でわたしの家の近所に住んでいて、今ではすっかり仲良くなったおばちゃんがやってきて声をかけられた。

「明日、何年ぶりかの列車が来るんだ。あたしも楽しみだよ。だからこれあげるよ。いってらっしゃい。」

わたしは、彼女から一枚の切符をもらった。


 そして、わたしは翌日その列車に乗るために荷物をまとめた後、その駅で待った。そこでしばらくベンチに座っていたら汽笛の音が聞こえてきて、古ぼけた流線型のディーゼル機関車に牽かれた列車が現れた。それが来たときは村人のほぼ全員が駅に集まってお祭り状態だった。村の有志が乗客たちを迎えるためにブラスバンド演奏をした。そしておばちゃんも手を振ってくれた。


 列車に乗った後車掌が車内改札のために来たので、私は例のおばちゃんからもらった切符を出した。車掌は、

「おめでとう。もうすぐ大事な人に会えるよ」

と言ってそれにスタンプを押して返した。わたしはしばらくして眠くなって、意識が消えた。



#######


 次に気づいたらそこはどう見てもラボだった。目を開けると、白衣を着た一人の女性が私を見つめていた。どう見ても愛する妹だった。

「ま、真奈香!?」

「おかえりなさい、お姉ちゃん」

それが今思い出す、わたしがこの彼女が作ったという「機械の体」を持った存在になった直前直後の話。今思うとあの村っていわゆる「死後の世界」だったのかなぁ……



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