サカナノホネ

濁少納言

プロローグ 骨一本で人生は止まる

のどに骨が刺さった。


たったそれだけで、私は6日間も社会から消えた。

子どもとの約束、仕事の予定もすべてキャンセル。

家族は混乱し、生活は止まり、私は病室に隔離された。


「骨が刺さる」なんて、

今まで誰も本気で心配したことがあるだろうか。

私だって、鼻歌まじりでタラを食べていた。

その瞬間まで、なにも気にしていなかった。


だけど、この骨1本が教えてくれたのだ。


人生は、思っている以上にかんたんに、崩れる。

誰かの都合でではなく、自分の体のほんの一部の裏切りで。


この本は、骨1本に人生をかき乱された私の、

病院生活6日間の記録である。

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