第2話 猫の爪の跡。

「うそ、閉めていたはず。」


家に帰ったらドアが開いていた。


「そんな…… 」


御迎えも来ない。

その場所は乱れていた。


「うそでしょう…… 」


乱れた風呂場、水が入っている風呂桶。風呂桶に沈む……


「いやあぁぁ!! うそ!! 」


風呂ふた。


ずぶ濡れの廊下。


ずぶ濡れの部屋。


溺れるほどの(数センチしか)水は入ってなかったが、パニクった後の風呂場。


パニクった後の部屋。


「びしょ濡れや パニック猫の 爪の跡。」

(夏草や つわものどもが 夢の跡【松尾芭蕉】)


何食わぬ顔で、毛づくろいをする猫。


「お前か…… 」


私は涙にくれて、床拭きに掃除をするのであった。


『教訓、お風呂の水は全部抜こう。』


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