第212話 女神と冥界竜
「久しいな黄竜セレス」
「お久しぶりですね、セレス様」
逢いたいと思ったら逢えた。
今回は俺の中の黄竜の幸運を司る力は美味く働いているようだ
突然現れてくれた。
目の前に居るのは冥界竜バウワー様に女神イシュタス様。
こちらはゼクトの結婚式をどうするか相談したかったが、突然現れたと言う事は、急用があるのかも知れない。
先に聞いてみるか?
「あの、急に現れてどうかされたのですか?」
「私達よりどちらかと言えば、セレスの方こそ用事があるのだろう? なんとなく呼ばれた様な気がしたからこうして二人して来たわけだ」
多分、それだけじゃない。そんな気がする。
だが、丁度良い。
まずはバウワー様に聞いてみるか。
「竜族は一体どのような結婚をするのでしょうか?」
「竜は結婚はしない。伴侶を持っている竜など私はセレス、お前以外に知らない。無限に生きる我々が永遠を誓うなんて凄い苦痛しかない。 長命種の我々には結婚なんて種族的に無理な話だ。 まぁ気まぐれで他種族と結婚なんて話は聞くが、たかが100年程度、あれは只の戯れだ。結婚とは言えないだろう」
「そうですか。ありがとうございました」
女神イシュタス様は、何故か少し膨れている気がする。
「本当に楽しそうで良いですね!天界から覗いてみたら、あんな事やそんな事、実に羨ま……いえ随分と自由な事をしていますね! まぁ、女神として約束は守りますから、あと500年辛抱しますけど、聞きたいのは勇者ゼクトについてですよね?」
覗かれていたのか…恥ずかしいな。
「はい、勇者ゼクトの結婚式についてです」
「コホン、良いですか? こちらの世界は本来なら人族は私、魔族は邪神が治めていて、それとは別に冥界竜バウワー様とその眷属が存在します」
「確かにそうですね」
「今の話でも分かる通り、竜族は婚姻を結びません」
さっきバウワー様から聞いた。
「その様ですね」
「人間側の神は私、魔族側の神である邪神ディオースは信仰を失いこの世界における権限を失いました。 今現在の魔族側の神は暫定的に貴方になっています」
魔族の神。 邪神の名前はディオースと言うのか。
「そうなのですか?」
「はい、ですから、結婚式の様式としてなら今のまま私の様式で問題はないと思います。 魔族側はきっとセレスには文句を言いませんので式を貴方が執り行えば誰も文句は言わないでしょう。 貴方も神の一柱なのですから自由にすれば良いのです」
「そうですね」
「はい、自分で考えるのも良し、面倒くさければ貴方の今の伴侶の中に元聖女のセシリアが居るじゃないですか? 彼女と相談しながら進めていけば問題ないでしょう?」
よく考えたらセシリアさんは元聖女。
言われてみればその通りだ。
「教えて頂き有難うございました」
「この位、別に構いませんよ! あっそうだ、折角ですから、うんそれがいいわ」
「なんでしょうか?」
「勇者ゼクトとの結婚式は、魔王も出席するのでしょうから盛大に行いましょう! この世界が今、どれ程平和かアピールするのに」
「え~と、盛大にですか?」
かなり大事になってしまったな。
よく考えたら勇者の結婚式なのだから、そのつき合いから考えて盛大にするしか無いんだよな。
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