第110話 『海街diary』冒頭部分で佳乃は犯罪をおかしているのか

オカモト弁護士の法的考察

第110回

『海街diary』冒頭部分で佳乃は犯罪をおかしているのか

                     岡本馬路

※ネタばれ注意

 本エッセイは吉田秋生『海街diary』の冒頭部分及び1巻途中及び関連作品を用いて法的考察をしています。同作の中盤までのあらすじ及び『ラヴァーズキス』の一部のネタばれがあります。ネタばれなしで愉しみたい方は本エッセイを読み飛ばしください。


吉田秋生『海街diary』は、日本の漫画作品。『月刊フラワーズ』(小学館)にて、2006年8月号から2018年9月号まで不定期連載された。『ラヴァーズ・キス』とのクロスオーバー作品である。また作者曰くこの二作品と今後描く作品で鎌倉三部作を考えている。番外編「通り雨のあとに」はスピンオフ作品『詩歌川百景』に繋ぐエピソードになる。

第11回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、マンガ大賞2013[2]、第61回小学館漫画賞一般向け部門受賞。

2015年に実写映画が公開された。


中盤までのあらすじは以下のとおり

神奈川県鎌倉市で暮らす香田三姉妹の元に、自分たちが幼いころに離婚して家を出て行った父の訃報が届いた。次女・佳乃は15年以上会っていない父の死を特に何とも思えず、父との思い出が殆どない三女・千佳も佳乃と同じ気持ちだった。それでも長女・幸の頼みで葬式に出るために山形へ赴いた佳乃と千佳は、そこで年齢の割にしっかりしている中学1年生の異母妹・浅野すずと初めて出会う。


既に母も亡くしていたすずは父の再々婚相手の家族と暮らしていた。気丈だが感情を見せないすずに対し、葬儀の打ち合わせで会った亡父の妻・陽子は頼りなく、佳乃はすずの今後について安請け合いする陽子に不信感を抱く。妹2人と違って記憶が確かな幸は父を許せず、夜勤を口実に欠席するつもりだったが、妹からのメールで事情を知ると徹夜を押して急行して葬式に出席する。葬式からの帰り、すずは幸から亡父のことで感謝の言葉をかけられ、堪えていた感情が爆発するように号泣した。幸はそんなすずに「鎌倉に来て一緒に暮らそう」と誘い、すずは快諾した。


そして、四十九日を済ませた翌週に、父を亡くした地を後にしたすずが鎌倉の異母姉たちが住む一軒家に引っ越してきた。異母妹を「四女」として迎えた香田家の新たな共同生活が始まる。


月日が流れ、鎌倉の生活に馴染んだすずの下を金沢から母の妹だという人が訪ねてくる。すずは不倫から始まった両親の関係や自身の出生に関して負い目を感じており、特に自分の母の話題を香田家では避けていた。母の実家は自分達を嫌って縁を切ったと思い込んでいたため、叔母の訪問を受けても今更という気持ちが強かった。しかし叔母から母とその実家の事情を聞いて、お互いを大切に思い合っていたことを知り、遺産相続の話し合いのために姉たちと金沢を訪れた際に伯父から亡母の振袖を贈られる。


さらに月日が流れ、中学3年に進級したすずは高校進学について選択する立場になるが、普通の高校か奨学金を貰える女子サッカーのある高校かを決められず、ヤスこと井上監督を介して打診のあった静岡の掛川学院からのオファーにも戸惑うばかりだった。また、幸、佳乃、千佳の恋愛模様も新たな局面を迎えていた…。


 今回の考察対象は、映画でも漫画でも冒頭のシーンである。藤井朋章(映画では坂口健太郎)のひとり暮らしのマンションのベッドで幸田佳乃と朋明は足をからませて寝て朝を迎えている。

 映画では佳乃は長澤まさみが演じていて、きれいな脚がクローズアップされる。

佳乃は、物語開始時、22歳。短大卒業後に地元の鎌倉八幡信用金庫で働くOL。

藤井朋章は『ラヴァーズ・キス』の主人公。物語開始時、17歳。産婦人科の藤井病院の息子。映画の冒頭や第1話登場時は大学生と偽って佳乃と恋人関係にあった。当時24歳の坂口健太郎なので、映画の視聴者は原作の設定が18歳未満とは思わなかったことだろう。


2024年6月以降であり、朋明が16歳未満であるときから交際して性行為等をなしていれば年の差性交罪にあたる。

リメイクする際には、設定に気遣う必要がある。

さらに神奈川県青少年保護条例で18歳未満との性交渉としての犯罪行為をしていることにならないか。

佳乃は朋明を大学生として認識しており、18歳未満という認識はない。そこで、故意犯としての淫行罪は成立しない。

互いの嘘がばれて別れているが、18歳未満とわかってつきあいと続けていれば、18歳未満と佳乃にわからなかったわけないだろう(短大の経験があるのに大学の教科書が部屋にみあたらないなど)という官憲の認定もありえた。

けっこうグレイなので、法的にも別れてよかたっと言える。


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