惑星シグムントには「巨人」が住まう。その高さ、およそ四万メートル。
桁が大きすぎてサイズ感のイメージすらできないのですが、まずはこの設定だけで度肝を抜かれます。想像も及ばないようなこの大きさをあえて設定し、果敢に挑んだ筆者の冒険心に感服です。
死んだ巨人の遺骸を利用して生活を営む少女の視点で語られる物語は、細やかな日常・自然描写も相まって、長編アニメーションを見ているかのような鮮やかなスペクタクル感満載。随所に散りばめられた平仮名表記の擬音にもなんとも味があり、読者を世界の中に自然と引き込んでくれます。
最大の見どころは、命の灯火わずかとなった巨人の豪快な転倒シーン。倒れ来る四万メートルの巨躯から街を守ろうと、主人公たちがトラックで大地を駆け抜ける疾走感には、手に汗握らずにいられません。
圧倒的なスケール感を、ぜひ、文章の全てからひしひしと体感してください。