第15話 LOVE
☆
翌日になり俺はまた母さんの作り置きのご飯を食べた。
それからドアを開ける。
すると電話がかかってきた。
朝早くから何事だ。
そう考えながらスマホを慌てて見る。
「って...由紀かよ」
そんなツッコミを入れながらスマホの応答ボタンをタップする。
それから「もしもし。おはようさんだな」と言うと由紀は「おはよう。ゴメン。朝早くから」と話した。
俺は「まあ起きて登校するから」とスマホを肩と頭に挟みながらドアに鍵をかける。
そして門を開けて閉め歩き出す。
「今日からまた学校に行くんだ。私」
「ああ。そうなのか。施設の職員さんが送ってくれるのか?」
「結論はまだ出ないから施設に居るんだけど...まあそうなるかな」
「そうか。良かったな」
「...」
「...」
互いに無言になる。
好き、か。
そう考えながら俺はスマホを見る。
すると由紀は「...私なんかが好きって言ったら駄目なのにね」と切り出した。
「好きっていうのは自由だと思うぞ。だからお前が好きな気持ちは大切にするべきだ」
「...幼馴染さんからアプローチとか受けた?」
「すまない。否定すればウソになるから。受けてるよ。絶賛アプローチを」
「私ね。今日、お弁当を作ったの」
「そうか。凄いな。自分の分だろ?」
「貴方の分もある」
そう言われて足が止まる。
俺は「え?」と固まってから返事する。
すると由紀は「好きだから。貴方が。施設の人と特別に作った」と言う。
それから無言になり数秒。
由紀は顔を上げる様な感じで話す。
「持って行くね」
俺はその言葉に「...」となりながら「ありがとう」と話した。
由紀は「え?」と返事をする。
「どんな形だろうがお前が作ったんだ。大切に食べさせてもらうよ」
「...えへへ。ありがと」
由紀はそう言う。
俺は歩きながら「じゃあまた学校でな」と言いながら登校する。
すると由紀は「うん。また」と嬉しそうに反応してからスマホを切った。
俺はその事を確認しながらゆっくり登校する。
少しだけその足が軽くなった気がした。
☆
「えー。愛妻弁当じゃん。あはは」
梓にそう言われる。
目を輝かせながら、だ。
俺は苦笑いを浮かべながら「確かにな」と言いつつ教科書を机に直す。
そうしていると梓は顎に手を添えながらニヤニヤしていた。
「好きなの?その子」
「あー。いや。贅沢な悩みかもだけどそういうのは無いな」
「え?どうして?そこまでしてもらってるのに?」
「ああ。だけど...恋愛感情は無いな」
「ほえー。そうなんだ」
「ああ。腐れ縁って程度だな」
そんな会話をしていると教室のドアが開いた。
それからゆっくりと由紀が現れる。
松葉杖をつきながらだ。
俺はそんな由紀に寄ってから弁当を受け取る。
そして「すまないな」と由紀に言う。
「気にしないで。私が好き勝手にやっているだけだから」
「...」
「その。もし良かったら...だけど」
「ああ」
「それでもお礼をしたいのであれば私と一緒にお弁当を食べてほしい」
その言葉に由紀を見る。
恥じらいながら赤くなっている。
俺はゆっくり笑みを浮かべてから頷いた。
それから俺は梓に断りを入れてから中庭に行ってから腰掛ける。
由紀は笑みを浮かべて俺を見ていた。
☆
私は幸助くんと一緒に並んで座っていた。
その事に胸をドキドキしながら幸助くんをチラチラ見る。
幸助くんは弁当箱を開けながら「お前...料理上手なんだな」と言ってくる。
心臓が跳ねまくる。
「そ、そうだね」
「...こんな事をしてくれるのはありがたいけどお前はお前の事で精一杯だろ?」
「私は好きでやってるって言ったよね。本当に好きでやってるだけ。貴方の事を想って」
そう幸助くんに話す。
幸助くんは弁当箱の蓋を持ったまま手を止めてから考えていた。
なにを考えているのだろう。
それは分からなかった。
幸助くんは数秒してから「食べるよ。ありがとう」と言いながら手を合わせてから「いただきます」とも言う。
そして私の作ったものを食べる。
朝4時から作ったものを。
心臓がバクバク跳ねる。
「...はは。美味しいよ」
「え!ほんとに!?」
「ああ。出汁で煮込んだハンバーグか。和風ハンバーグみたいな感じか?」
「う、うん。ビンゴ...」
その言葉に「美味い」と言う幸助くん。
幸助くんはゆっくり口元に卵焼き、和風ハンバーグなどを運びながら食べる。
私は心の中で小躍りしていた。
嬉しい。
凄く嬉しく思う。
疲れが吹っ飛んだ気がした。
「お前も食べたら?」
「あ、う、うん。そうだね」
私は小さくカットしている林檎を見る。
唇を舐めてから心を落ち着かせる。
一口サイズ。
これは幸助くんのお弁当には唯一入ってない。
何故かと言えば...お楽しみ。
サプライズだから。
私だって可愛いんだ。
女の子だ。
だから負けたくはない。
幼馴染さんに。
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