第15話 『障害の異世界』へ・・・

さてテーマとしての本題だ。タイトル回収?まあ、どうでもいいや。



自身が体験した恐ろしい『障害の異世界』の話をしよう。

俺は私は??年間も『異世界』で足掻いていた。

しかもその場所が『異世界』だと気が付かずに。


この世には『現実世界』と『障害の異世界』がある。

フィクションではない、きっかけさえあれば誰でも移動できる『この世の地獄』。


俺は私は幼児期の時に『障害の異世界』に転移した。

昔の俺は私は『声の大きい活発な子供』だったらしい。

高いところから落ちたのだからそうなのだろう。登ったのだ。登れたのだ。


そして落下し、頭を打って『異世界』へ移動した。

異常な状態が『普通』の世界に。


転移後の俺は私は『無口』になった。頭に浮かんだことが声に出せない。

いや、感覚がズレていた。

『現実世界』の『普通の人』よりも時間が早く流れる。恐ろしく速い。

PTSDによる集中力低下。その影響。この世の全ては『集中力』だ。


人によるが、『障害の異世界』では時間の流れる速さ・・・。体感時間が違う。

2倍から3倍、いや、それ以上の人もいるかも知れない。


加速するんだ。あっという間に時間が過ぎる。


俺は私は言葉を出そうとしても『その時間』が過ぎている。

『普通の人』はどんどんと話を先に進める。永遠に追いつけない。追いつかない。

言葉を出し、話しても「それ何の話?」と返ってくる。噛み合わないんだ会話が。


『集中力低下による体感時間加速』というデバフは他の行動にも影響する。

学校生活でもそれは同じ。集団で行動すると時間感覚の差が更に広がる。


凄まじく凶悪なデバフだ。体験しないとこの恐怖はわからない。


勉強、運動、芸術、その他諸々、段々とついて行けなくなる。

頑張って、頑張って、頑張って、『現実世界』の『普通』にやっと追いつく。

追いついても達成感はない。「普通だろ?」と言われる。こんなに努力したのに?


普通?『普通』ってなんだ?

『現実世界』の『普通』は『障害の異世界』には辛すぎる。


ぜひ一度、『障害の異世界』に行ってみるといい。

俺の私の場合だと『現実世界』の30分は『障害の異世界』での1時間だ。


一日が12時間しか無い。それが『障害の異世界』の『普通』だ。


馬鹿げている。そんな世界にいたのか・・・。


『現実世界』で『集中力アップ』のバフを持つ人はその逆になる。1日が36時間、48時間になる人もいるのだろう。羨ましい能力だ。


さて、ずっとその『異世界』で俺は私は生きてきた。

受けたデバフは『集中力低下』『筋力低下』『記憶容量低下』『想像力低下』。


集中力低下で時間の流れが速い。会話をするのにも疲れる。他者と競うことも出来ない。どう足掻いても追いつけないから。


PTSDにより筋力低下。通常の60%の力しか出せない。運動では勝てない。懸垂とか無理。


記憶容量低下。生きるために必要な『常識』のみを記憶する。人の顔と名前を覚えられない。生活にとって不必要なものはすぐに忘れて容量を確保する。そして怒られる。


想像力低下で未来のことがわからなくなる。予定が組めない。何事にもテキトーになる。宿題とかやらない。やらなかった時の状況が想像できない。結果は絶望しか無い。


この状態から『異世界』での生活がスタートする。物語としては最低の始まりだ。

ここから努力してステータスを上げて『現実世界』の『普通』を目指す。


『現実世界』の『普通の人々』は一般モブですら強敵だ。

黙って道を開けないと何をされるかわからない。口を利くのも恐れ多い存在。同じ場所にいてはいけない、そもそも時間の流れが違うのだ。


そして『普通の人々』はエールを送る。「頑張れ」「もっと努力しろ」「上を目指せ」と。


頑張ってるよ、やってるよ、足掻いてるよ。自分のペースでゆっくり経験値を貯めて、なんとか「普通」になろうとしてるんだ。なんなんだよ『現実世界』の『普通』って。


早すぎるんだよアンタ達は。逆に聞きたいよ。


「どこまで頑張れば、努力すれば、あなた達に追いつけるんですか?もっと簡単に経験値を貯められる狩り場はありませんか?」


ヒロイン?ライバルキャラ?そんなものはどこにもいない。周りは全て強敵のソロプレイだ。


共感も得られない、盛り上がりもない最低最悪の『異世界物語』だ。


それが『障害の異世界』。物語の終わりは想像できない。したくない。



まあ、オチは決まってる。スッキリしない最悪の結末だ。






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