第45話


いつも、何かを思い出そうとすると、ズキズキと痛む頭の中。


それを、奥歯をギリッと噛み締め、我慢する。


酷い時は、意識が無くなる事もある。



私は、何かを忘れている……?


自分の名前さえも、忘れてしまった私は……誰……?



出口の見えない迷路。


答えが、見つからない無限のループ。



余りにも、ズキズキと痛むのが、我慢出来なくなり、ベッドの上に寝転ぶ。


そして、静かに瞼を閉じた。


聞こえて来るのは、時を刻む時計の音。



コチ、コチ、コチ、コチ……



それ以外、音は聞こえない。


また、私は無駄な時間を過ごしているのかも……?



退屈で長い1日。



何故、そう思ったのか?が分からない。



いつも、小説を読んだり、刺繍をして過ごすのが、私の1日だったはず。


その事に対して、何の疑問も思わなかった。


でも、何かが違う。


昨日とは、明らかに違う。


そう思っても、何が違うのか、分からない。


分からないから、また考えてしまう。


そして、また出口の見えない迷路に、迷い込んだ感覚になる。


いつまでも、答えの出ない無限のループ。



昨日、私は、何をしていた?



自分に、問い掛けてみるのに、その答えがない。



何故……?



どうして、昨日の事を、覚えていないのだろう……?


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