第37話


目の前に広がるのは、多量の赤い鮮血。



そこに、塊の様なものがある。



膝を抱え、座っているのは、小さな女の子。



『あぁぁぁー!』



そう叫んだのは、幼い時の私



『逃げよう』



白に近い金色の髪に、蒼いの瞳の少年が、そう言うと私の右手を握った。


視界の隅では、黒髪の女性が倒れていた。


沢山の赤い鮮血を流して……



何も考えず、ただひたすら足を前に進めた。


あれから、どれだけの月日が流れたのだろう……?


あの時、私の手を握ったのは、誰でもなく、琥珀。



どうして、今になって思い出したの?



だけど、私は、すぐに忘れる。


それは、琥珀が、私の記憶を消すから……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る