第12話
空は、どこまでも広がっているのに、地面は塀で塞がっていて、何処に続いているのか、分からない。
何かを考えていると、時間の流れが早く感じる。
「姫、夕飯だ」
永遠の言葉が耳に入ってきたけど、振り返る事はしない。
少しすると、永遠が部屋から出て行ったのが分かる。
窓際からテーブルまで移動し、料理が入った器を持って、トイレに行くと、中のものを流した。
私が食事を取らなくても、琥珀にも永遠にも、分かるはずがない。
会話がない日常の中で、私は生きていながら死んでいる。
まるで生きる屍みたい。
私の中に残っていくのは、虚しさだけ……
自分は、何の為に産まれ……何の為に生きているのか……?
それさえ分からなくなる。
だからと言って、自ら命を絶つ事はしない。
食事を取らないのは、私の心の叫びを聞いてもらいたいから……
私は、生きているんだと言って欲しいから……
もしかしたら、無理かも知れない。
琥珀は、きっと来ない……
淋しい……
悲しい……
辛い……
忘れていた負の感情が、私を支配していく。
もう、どうしたら良いのか?分からなくなる。
誰か……
誰か……
私を助けて……
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