第2話


いつから、琥珀と永遠と暮らし始めたのか?


……覚えていない。


思い出そうと努力する時もある。



だけど、思い出したら何もかも失ってしまう。



そんな気がするから、思い出す事を拒否続ける私。



「姫、飯だ」



永遠の声が聞こえ、刺繍をしていた手を止めた。



「此処に置いておくから残すなよ」



永遠は部屋にある丸いテーブルの上に、サラダ、トースト、野菜ジュース、ハムエッグが入っている器とグラスを並べていく。


それが終わると部屋を出て行くのは、いつもの事だ。


椅子に座り、運ばれてきた料理を食べる。


琥珀と永遠とは、一緒に食事をした事がない。


永遠は、私の部屋に料理を運んで来るから、1日3回は会うけど、琥珀は私に用がある時しか部屋に来ない。


部屋から出て、私から会いに行けば良いかも知れないけど、私はそれをしない。



その理由は……嫌われるのが……怖いから……



部屋の中には、バスルームとトイレがついている。


バスルームには、乾燥機付きのドラム缶型の洗濯機もある。


だから、私が部屋から出なくても、生活するのに困らない。

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