15 術後のほうが大変でした
2025/08/13(水)18:41 かきはじめ
背中や胸にたくさんのチューブがついていたりして……夜に起きて、お手洗いに行くときに面倒でした。
そして全身が痒かった。22日に入院したときに軽くシャワー浴びた程度でして。 翌日に手術だったんですよ。それから一週間は傷口が痛いのと、胸部からの管や機器? が取れるまではシャワーも禁止という。夏だというのに、あるまじき不潔さ(と言っていいのだろうか/汗)。
一、退院前日に一番大きな機器が取れたとき、女性看護師さんが髪を洗ってくださいました。
無印のシャンプーとコンディショナーだったんですけれども
「いい匂いですね!」
って仰ってくださって。ドライヤーまでかけてくださって。こんな自分でも終始、泣きそうになりました。
普通に歩けること、普通にお風呂に入ったり、シャワーができることなどが……どれだけ幸せなことかと痛感しました。
一、リハビリ担当の理学療法士、Y下さんとの会話。
「入院する前に、映画観たんだけど。退院できたら、また行きたいなあと思ってて」
「いいじゃないですかー。なんの映画です?」
「『国宝』って。いま、大河ドラマに出ている横浜さんが出てて、糖尿で足の切断する役なんですよ……足の切断なんてしたら、余命がわずかだって……調べてみて、背筋が寒くなりました」
Y下さん曰く
「糖尿の患者さんは、体のどこか切断する事態になったとき、絶対に僕らに言うんですよ『なんで、もっと強く言ってくれなかったのか!』って」
「ああ……なんだか、その気持ち。わかります、けど。Y下さんにしてみたら『散々、言うてたやろ!』って、なっちゃうよね……」
「そうそう」
やり場のない気持ちをぶつけられる相手が理学療法士というのも、切ないな。
でも、リハビリ担当だって担当なりに誠意を尽くしていたと思う。それを受け入れずに「最初は親指だけ、それが足首、膝下、太もも」と切断箇所が大きくなっていったのは他ならぬ自分自身の責任だもんなぁ……。
「幻肢痛が激しいみたいですよ」
想像しただけで胃が痛くなる。
そういえば、入院した病棟のロビーに片足切断された男性が椅子にも座らずに。窓の外を、ずーっと眺めていらっしゃいました。
こちらから見ていても、胸が痛くなる光景でございました。
一、四人部屋に、入ってきたお婆ちゃん。お顔は見てませんが。後期高齢者の年齢層の方だと思われるんですが。
一日のうちに、何度か「ぽーん!」と言う。明け方やら夜中とか。ときどき、昼間とか、だったかな?
もしくは「ぱ、ぱっ、ぱっ、ぱーん!」って言う。
それまでは、ほとんど話さないのに。せいぜいが検温などに来る看護師さんに挨拶している程度で。
急に「ぽーん!」と大声を出されるので、最初は何事かと思っていたのだけれども。
朝ぽーん、の声を出されたとき、たまたま自分は腕時計を見ていたのね。それで、わかった。
時報のつもりだったのか!
いつ頃から、そんな習慣があるのかはわからないけれども……。時報の声だったと、気づいたとき、悲しくなったことを思い出す。
一、他人の親切を当然だと思ってはいけない。他人を自分よりも劣っていると思ってもいけない。自分が優れているところ、そんなこともありえない。
どんな人にでも傷があり、誇りとなるであろう、ちっぽけな感情がある。
見て見ぬふりをするのでもなく、無理に寄り添おうとするのでもなく。流れのままに観ていくことも大事なのかもしれない。
こんなことをあらためて考えてしまうのは、緩和ケアの人も収容する病棟だったからかもしれない。
一、いまは、普通の生活ができるようになることが目標です! 仕事をしたり、頻繁に寄席に行ったりしたいです。
肺内視鏡検査を受けてきました 優美香 @yumika75
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