第23話 ふしだら女騎士、解錠師に堕ちる。
※今回は1エピソードが短いので数話投稿します。
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それからなんやかんやあって、俺たちは街に戻ることにした。
一応エリスとグレンの二人には、これ以上暴れないように手錠型の【
解錠師のスキルを使っていくたびに、さまざまな使い方ができることがわかってきた。
先ほどのエリス拘束のための白い光輪とか、今使ってる手錠型のヤツもそうだ。
このことから、
……それはそれとして。
「あぁんっ、ロック様♡ もっと、もっとわたくしを強く縛りつけてくださいまし──って痛いッ!? ちょっと何をするんですの、
「何をするんですの、じゃないわこのドヘンタイ女が! ロックに近づくでない、いますぐ離れんかこのアホ!」
「イヤですわ! わたくし、先ほどのロック様の発言で確信したんですの! この方はわたくしの『将来の旦那様になる方だ』って! だからぜったいに離れませんわ! というか離れるのはアナタではなくて!?
「なんで我が離れるんじゃ!? 我とロックはパーティなんじゃぞ!! お主こそさっさと失せろヘンタイ! なんじゃその格好バカじゃないのか!?」
「わたくしは変態ではありませんわ! だいたいアナタだって露出の高い服装を──」
「……なんか、色々とすみません、ロックさん」
「はは……」
言い合うアイザとエリスを他所に、グレンが恥ずかしそうに謝罪してきた。
俺を捕まえようとしてきたのに今では「コレ」だからなぁ……。
俺たちの邪魔をさせないようにと脅しの言葉をかけただけで、まさかこんなことになるなんて。
俺は先ほどのやり取りを、街へと向かう中でひっそりと思い出した。
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「あ、あのっ……今のお言葉、もう一度わたくしに言ってくださいませんか♡ それももっと、ゴミを見るような目でもう一度……♡」
エリスをスキルで縛り、脅したあとのこと。エリスが顔を赤くしながらそんなことを言ってきた。
「なんじゃコイツ、さっきと態度がぜんぜん違うぞ!?」
俺を守ろうとアイザが前に立ってエリスを止めようとするが、彼女はイモムシのようにすり寄るのをやめなかった。
アイザの言うとおり、なんで急にこんな態度になったんだろう。俺、べつに何もしてないよな……?
「……お姉様は、以前よりずっと『自分より強い男と結婚する』ことを夢見てきました。お姉様がこのような惨状を晒しているのは、おそらくロックさんを『自分より強い男』だと認めたからだと思います」
身内の恥ずかしい場面を見て顔を赤く染めるグレンが、ほそぼそとした声で説明してくれた。
「いやいや、俺はただの解錠師で、大した力は持ってないよ?」
「【
グレンからジトっとした視線を向けられ、思わず口を閉じる。言葉にして伝えられたら、確かに異常な強さをしている気がする。
「けどさ、エリスより強い人間は以外といるんじゃないのか?
くねくねと身をよじらせて近づいてくるエリスを、アイザが正面から止める──という絵面を横目に見ながらグレンに尋ねる。
すると彼は、
「
「序列? 誰が何番目の強さとか、そういう話?」
「そうです。エリスお姉様は、10人いる
「──正面から打ち負かしたロックさん以外には」。
グレンはそう言うと、何故か俺に
なにその一礼。「エリスお姉様をよろしくお願いします」ってそういうこと? 自分とこの身内が面倒くさいからって俺に押し付けようとしてない?
「とまぁ、そういうワケですので──」
「グレンから話は聞きましたわよね!? ではロック様、わたくしとぜひ結婚いたしましょう!!」
足まで拘束されているのに、エリスは器用に立ち上がって顔を近づけてきた。
身長も高いし、胸やらなにやら色々と大きいから迫力がすごい。この感じ、王都にいたときにお世話になったギルドマスターを思い出すな……。
「ふざけるなこのアホ!! というかお主、故郷に帰る必要があるのではないか!? もともとは封印解除された
マスターもシロエも元気で暮らしてるだろうか──と思い出に
「ご心配には及びませんわ!! ……グレン。アナタは先にエクスノーメンへ帰りなさい。そして聖剣教皇様にこう伝えるのです。『エリスは解錠師の少年と婚姻の契りを結びました。次に戻るときはお腹に新しい
「帰れッ! 今すぐ国に帰れーッ!!」
アイザが渾身の叫びを吐き出すが、こうなったエリスを止めるすべは持たないのか、グレンは申し訳なさそうに俺に頭を下げるのであった。
言っておくけど、結婚する気はないからね?
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※ 次回更新は12時3分となります。
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